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少しずつ聞こえてくる話

 働くことは決まった。あとは細かいことなどを確かめていかないと。でも、その前に…マーシャさんから話はしてくれているのだけど、それでも。



「私はこの町で仕事をし、旅費を貯め…船旅が可能になったら、海を渡るつもりです。旅費がいつ貯まるかはわかりませんけど、遠くない将来この町を離れてしまうわけです。それでも…本当に問題ないですか?」


「事情はマーシャさんから聞いているよ。それでも働いて欲しいと思っている。それはもちろん長くずっと働いてくれた方が良い。でも、ユーカさんがここで働いてくれている間に、わたしは外回りが出来る。上級薬液が買える、上級治癒が受けられる店として、名があがるようにしてみせる。そうなってしまえば、ユーカさんの後継を見つけるのが楽になるはずだ。今は実績がないから難しいがね。今はわたしが魔法を使い、治癒もしているから、外回りがあまりできていないんだよ」


「お父さんに治癒を受けるよりも、若くて素敵な女性に治癒を受けられる方が、お客さんも喜ぶもの。特に船員さんなんかはね! その点でも、ユーカさんに働いてもらうことで、お客さんは増えるわ!」



 どうやら旅費が貯まり次第、仕事を辞させてもらうことは大丈夫なようだ。もちろん後継者探しの猶予を持たないとだから、旅立つ時期は早めに伝えるし、見つかるまで多少は待つつもりだけど。


 それから給与面、食事などの生活面の説明などを聞いた。まずは給与。マーシャさんちのパンや周囲のお店で売られているものの値段から、だいたいの物価は分かってきた。旅費を貯めるにはやはりそれなりに時間がかかりそうだけど、やはりここでの給与はかなり良い方だと思うから、なんとかなりそうだと安心する。治癒魔法のおかげだね!


 食事などの生活面については、食事も洗濯も掃除も当番制だそう。ジーンさん、ミーナさんに私を入れた3人で。例えば今週が食事当番なら、来週は洗濯当番とか。でも、ジーンさんの作るご飯は、微妙だからごめんねってミーナさんがこっそりと教えてくれる。…それならジーンさんの食事当番、外せば良いんじゃ…? まぁ、これはまた実際にジーンさんの料理を食べてみてからでもいいか。3人いるなら苦手な分野は無理にしなくても…うまく当番回るだろうし。


 だいたいの説明を受けた後、私が使う予定の部屋も見せてもらった。2階のその部屋は今は物置になっていて、それを片付けるのに少し時間がかかるとのこと。マーシャさんも、急に引っ越しちゃうのは寂しいからと、準備が整うまではうちから通えばいいと言ってくれた。働くのはキリ良く来週から。引っ越してくるのは、再来週とかになりそうかな?



 ジーンさん、ミーナさんと別れて、マーシャさんのうちに戻る。時刻はもうすぐ夕方。最後のお客さんラッシュが始まる! ということで、リックさんやシーラへの報告は後回し。マーシャさんはリックさんの、私はシーラの補助に早速付くのだった。


 最後のお客さんをお見送りし、ホッと一息。閉店作業を終え、皆で食卓を囲む。やっぱり話題は私の仕事のこと。仕事先が決まったことは、2人とも喜んでくれた。もう少しここでお世話になることは、もっと喜んでくれた。


 夜はシーラの部屋で少しお喋りしてから眠りにつくのが定番コースになっていた。シーラは忙しく働いていても、お客さんとの会話は怠らない。一言二言でも、ちょっとしたことでも。馴染みのお客さん達は、シーラとの会話も買い物に含まれてるのだから。


 そんなシーラは情報通で。時折、海を超えた遥か彼方のナハト国の勇者一行の情報もキャッチしてて…。すごく詳細な情報ってわけじゃない。でも、それでも皆のことが分かるのは嬉しかった。聞きかじった情報によると、今は勇者一行が魔王退治を終えてから5年程経っているらしい。皆はまだナハト国を拠点にしていて、ショーンさんとギルさんは王女様方の婚約者の座を射止めたんだって! いや、王女様方がショーンさん、ギルさんを捕まえたのかな? そして、ディーンさんは…。結婚したという情報は入ってないらしい。それを聞いて、どこかホッとしてしまう自分がいて。もちろんディーンさんには幸せになっていて欲しい。でも、やっぱり1番会いたいのは…会いたいと願って止まないのは…ディーンさんだから……。


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