大切な人達みんなへ伝えよう!
そこからはシンシアに話した時と同じで、話を中断させることなく、一気に話しきった。そして、肝心のディーンさんからの反応は…。
「ユーカもやはり別の世界から来ていたんだな。トーガ村に来る前の記憶が無いとは言っていたから、勝手に召喚でもされたのかと思っていたが…流石に夢の世界とは思わなかったな。俺は確かに元の世界には帰ることが出来ないと断言されたが、この不可思議な世界では突然何が起こってもおかしくない。突然この世界に連れて来られたように、また突然帰れることもあるんじゃないかと、思ってもいる。帰れるとなった時に、俺の隣にユーカが居てくれたなら…その時はもちろん悩むだろう。この世界に残ることを選ぶかもしれないし、可能なら元の世界にユーカを連れて帰りたいと思うかもしれない。でも、その時はその時だ。それは仮定の話だからな。今、俺が見ているのは目の前にいるユーカだけだ。俺はユーカの幸せを望む。ユーカの幸せが俺と共にあれば嬉しい限りだが、別にそうでなくても恨み言は言いはしない。ユーカがその時に1番望む道、幸せへの道を選んでくれたらいいんだ」
やっぱりディーンさんは優しい…優しすぎるよ。この世界の人は皆優しすぎるんだ。でも…だからこそ大切なんだ。皆が見せてくれる素敵な心、素敵な笑顔が…すごく大切。
もし私が帰れるとしたら、それは夢の世界から覚める時。その時に、どっちかを選ぶなんて選択肢は与えられないはずだ。そんな状態で帰ってしまって、私は後悔しないだろうか?ディーンさんとシンシアには全てを打ち明けたけど、他にも大切な人達がたくさんいるのに、皆にはまだ話せていない。もちろん私が突然消えたら、ディーンさん達が話してくれるとは思うけど…私なら人伝に聞くのは寂しいと思ってしまうだろう。それに私が突然消えてしまった時に、ディーンさんもシンシアも近くに居なかったら…?
失踪、誘拐…元の世界に戻ったなんてわからないんだから、絶対に心配をかけてしまう。そんなのは嫌だ。大切だから言えないんじゃなくて、大切だから言わないとダメなんだ!
「村の皆やショーンさん、ギルさんにも、全てを打ち明ける。手紙じゃなくて、直接話したいんだけど、また王宮まで行っても大丈夫かな?」
「忘れたのか?ユーカは英雄なんだぞ?王宮には出入り自由だ。ユーカの部屋だって、残してあるのだからな」
「え?部屋残してるの?知らなかった…」
「王都に立ち寄った際は、王宮にも気軽に来いということだろう。あ、俺の王都での家も完成したからな。そこにも、ユーカの部屋はあるぞ?」
「えぇ!?ディーンさんのうちにも!?」
『皆に全てを打ち明ける』という新たな決意を抱き、王様の配慮にもしんみりとしていたら、このディーンさんの発言。でも、おかげでいつものペースに戻れそうだ。ありがとう、ディーンさん!
まずは、村の皆に集まってもらって、話を聞いてもらうことにした。一様に驚いていたけれど、皆私の話を信じてくれたようだった。小さい村なので、全員が私がトーマさんに連れられて突然やって来た経緯を知っている。この国の常識に疎かったことも。『そんな大変なことがあったんだなぁ』と、あまりにあっさりと受け入れてくれるので、つい『こんな突拍子もない話、信じてくれるの?』と聞いてしまう。だけど、『ユーカが言うんだから、信じるさ』と当たり前のように答えてくれる皆を見ていると…涙腺が緩みつつある私は涙を浮かべてしまい、ディーンさんに慰められるのだった。
次はショーンさんと、ギルさん!支援も見届けないといけないから、王都へはすぐには向かえなかったけど、一区切りついたところでショーンさん達に会うべく王都へと旅立つことにした。
今回の旅もシンシアは一緒に来てくれる。当然のようにディーンさんも。ディーンさんの本拠地は、そもそも王都だしね。
王都に入って、すぐに王宮に向かう。手紙は出していたので、ショーンさんとギルさんは揃って待っていてくれて、早速私の話を聞いてもらうことになった。
シンシア、ディーンさん、村の皆…もう3度話したことだけど、やっぱり打ち明け話というのは慣れはしない。なんとか話し終えて、ショーンさんとギルさんを見ると、『話してくれてありがとう』と2人から言われ、やはり涙してしまうのだった。
打ち明け話の後は、ショーンさんとギルさんの近況を聞いて過ごした。王女様達が頑張っているようで、ちょっと気になる存在になりかけているとか…何それ!もっと詳しく聞きたい!
そんなことを話していると、あっという間に時間は経っていき、夜を迎えた。今日は王宮に用意された部屋で休み、明日はディーンさんの家に行く予定だ!
読んでいただき、ありがとうございました。次話は、9月7日の11時投稿予定です。よろしくお願いします。




