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人里を求めて探検します!

(…あ、あれ?!夢の中で寝て起きたのに、夢が覚めてない?!)



 目を覚ますと夢からも覚め、自分の部屋のベッドの上に寝ているのが、いつものパターンだ。なのに今朝はどういうわけか、夢の中で眠りについた椅子の上に座っている状態だ。



 夢の中で本の世界を初めて体験したのは、確か中学1年生の頃。それから26歳までの13年間。毎晩のように夢で本の世界を体験してきたが、目が覚めたのに本の世界の中にいるというのは今回が初めてだ。


 どういうことなのか理解が追いつかず、しばし呆然とする。しかし、いつまでもこうしていても何も変わらないと、とにかく起き上がり小屋の外に出てみることにする。


 出てはみたが…小屋の外の風景も昨日とまったく変化がなかったのだけど…。



(ということは…やっぱりここは夢の世界なんだ…。昨日は、1日だけだし大丈夫と思っていたけど…もし今夜眠りについて目覚めても夢の世界だったら…?さすがに、誰にも出会えずここがどこかもわからない状態は良くないよね…)



 昨日は1晩の夢の世界だと思っていたからか、空腹も特に感じなかったが…。今は少し空腹を感じている。ここにいれば水分は問題ないけど、食べられるものはない。このまま食べるものなしでは、今日1日ならまだしも、明日も夢から覚めなかったとしたら、とうてい生きていけない。



(誰かに会って情報を得るにせよ、食べ物を得るにせよ、どちらにしてもここから離れて、人里を見つけなきゃ!)



 手早く身支度を整えて、水分を補給する。街道沿いに立って、昨日歩いてきた方角を確認。元に戻っても意味がないから、今日はこのオアシスの先に進むことにする。



 街道を歩き始めて数時間。やはり人の姿は見えなかったが、またオアシスを発見する。旅の拠点になっているのだろうか。ここにも小屋が建っていて、休息が取れるようになっていた。


 水分を補給し、小屋で休憩をとる。オアシスの近くには野生の木々が群生していて、そこには果物も実っていた。



(助かった!)



 いくつか手に取り、恐る恐る食べてみる。野生だからか酸っぱさが強いが、充分に食べることができそうだ。空腹も手伝い数個ほどを一気に食べ、持って歩けるだけを非常食として収穫させてもらう。



(カバンがないのは不便だな…。せめて水をいれておける容器を探さなきゃ…)



 休憩を終え、また歩き始めて数時間。ようやく今までと違う景色になってきた。今まではオアシス周辺以外には背の低い植物しか生えていなかったが、森のようなものが見えてきた。街道をまっすぐ進むと森の中に入るようだ。


 森の出口はここからでは見えない。今はまだ明るいけど、森の中で夜を迎えるのはまずい気がする。今のところ人どころか野生動物にも出会っていないけど、森の中にはさすがに動物が生息していそうだ。



 今日は森の入り口から少し離れたところで…人生初の野宿だ。眠れるかどうかはわからないけど、もしかして眠りから覚めた時に、今度こそ現実の世界に戻れる可能性もある。少しでも眠らないと…。



 結局眠れたのは朝方の少しの時間。でも、確かに寝た。そして、目覚めた私の視界に映ったのは…森の入口だった。



(やっぱり駄目か…)



 ガックリした気持ちをふるい落として、なんとか行動を始める。今日は森の中を進んで行く。明るいうちに森を抜けなきゃだから、時間は無駄に出来ないのだ。



 森を進んで行くと、この世界で始めての動物に出会った。鳥が数羽飛んでいたのだ。



(よかった…。人にも動物にもまったく出会わないのって不安だったんだよね…。オアシスの小屋がさびれていないから、人が居ないということはないと思ってたけど…やっぱり実際に見ないと…)



 他にも野生の小動物の気配は感じたが、こちらを警戒しているのか、姿は見えない。



(襲ってくる動物がいないのを祈ろう…!)



 ひたすら道を辿って歩いていくと、少し開けた空間が現れた。そこには泉が湧き出ており、泉の周りには草が群生している。



(雑草…という感じではないかな?よくわからないけど、薬草のような感じ?)



 薬草だとしたらいいけど、もし違ったら困るから迂闊には手を出せない。薬草だとしたら踏み潰すのもよくないだろうから、その草を避けて泉に近づく。オアシスの湖と一緒ですごく透き通っている。この水も飲めるのだろうか。少し掬ってみようと手を伸ばした時ー・・・



「その泉に触れるな!」



 そんな声が聞こえてきたのだったー・・・

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