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ようやく気付いた勇者の思い

 凱旋パレード、晩餐会、舞踏会と続けざまに行われた主要な行事は無事に終わった。あとは、もうしばらく続くことになる小規模な催しへの参加を終わらせれば、ようやくトーガ村へと戻ることができる。もちろん、早くトーマさん達に支援のことを報告したいという気持ちもあるのだけど…。



・魔王の討伐は終えた。少なくとも、あと数百年は魔王は生まれることはなく、魔王や魔物への脅威はなくなった。

・トーガ村への支援が約束された。ディーンさん達皆も、それぞれの願い事が叶えられることを約束されている。

・『勇者と姫が結ばれた!めでたし、めでたし!』という展開にはならなかったけど、どうやらお姫様達はショーンさんやギルさんに猛アピールをしているらしいから、素敵な展開になるかもしれない。



 こうして上げてみると、ハッピーエンドの要素がたっぷりだ。これで、私がトーガ村に戻って、支援を見届けるか、その道筋だけでも立てれば…。今度こそ、朝を迎えたら元の世界に戻ることができるかも…!


 そう思うと、早くトーガ村に戻りたいと気が急くのだけど、なかなかそうもいかない。王宮付き合いというのは、そう簡単ではないのだ。…王宮付き合いを語れる程、まだ王宮に滞在してはいないのだけど…。



 そして、頭を悩ます問題がもう一つ…。何故かディーンさんが、お姫様達じゃなくて、私に対して熱のこもった視線を向けて来るのだ!



(なんで?普通は見るからに可憐で、お姫様の理想像を体現しているといえる、王女様方のどちらかに恋するはずでしょ!?)



「普通なら恋するのはお姫様だよね!シンシアもそう思うでしょ?」



 と同意を求めたのに、シンシアにはため息をつかれる始末。



「ユーカ様は、鈍感過ぎます…お可哀想な勇者様…」



(え?もしかして、私が気付いてなかっただけ?ディーンさんが優しかったのは、お兄さん的な過保護だったんじゃなくて…?)



 さりげなくショーンさんにも聞いてみたけど…ショーンさんにも『やっと気づいたか!このまま気付かれないんじゃ、あんまりだと思っていたが…ディーンもこれで報われるか?』と豪快に笑われてしまい…。



(ギルさんには聞いたのかって…?聞きにくいから、聞いてません!ギルさんにまで、鈍感だとか言われたら、暫く立ち直れないかもしれないし…!)



 よくよく思い返してみれば、ディーンさんの私に対する態度は、過保護という枠を遥かに超えていたのかもしれない。あとになって聞いてみれば、旅の間の夜の見張りがいつもディーンさんとペアだったのも、ディーンさんが言い出したことだったらしいし。仲間とはいえ、夜に他の男と2人きりにさせたくないとか言ってきたようだ…。



(な、なんて事をショーンさん達に言ってるの…!)



 聞いていて、こっちの方が恥ずかしさで身悶えたるはめに陥ったり…。その他にも、あとになって聞いてみれば…ということが、ショーンさんから語られる。これは、もう確定なの…?


 と言っても、私のディーンさんに対する感情は、恋愛感情ではなくて。これから先もずっとそうだとは限らないけど…。


 もし元の世界に帰れなかったら?ずっとディーンさんが側に居てくれたら…?


 でも、私はまだ元の世界に帰ることを諦め切れていない。ディーンさんが元の世界に帰れないことは、とても辛い事だとはわかっているけど…。辛いとわかるからこそ、まだ諦めたくないのだ。


『もしも…』とか、そんな起こらないかもしれないことを考えて、答えを出してはダメだ。ディーンさんは真剣なのに、こんな中途半端な気持ちで相対してはいけない。



 とにかく、王宮での催しが全て済んだら、すぐにでもトーガ村へ向かおう。まずは、自分ができる事を全てやり尽くすんだ!


 決意を新たに、だけどその決意を誰にも告げることなく、用意された催しなどに参加する日々を過ごすのだった。



 さぁ、ついに明日はトーガ村へ向けて出発だ!

読んでいただき、ありがとうございました。次話は、29日の11時投稿予定です。よろしくお願いします。

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