表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/54

求めた望み、叶えられた望み

 勇者一行と姫様方の入場に、舞踏会会場は一気に湧き上がる。今日は晩餐会とは違い有力貴族だけではなく、広い会場に国内中の貴族が集まっているということで…集まる視線もかなり多い。


 集まる視線に大いに緊張しながらも、隣を歩くのがいつも私のことを気遣ってくれるディーンさんだという安心感もあって、なんとか指定の位置まで歩ききることができたのだった。


 まず最初に国王から、集まった参加者に向けて、改めて魔王討伐が果たされたことが告げられる。そして、それを果たした英雄として、勇者一行が紹介された。


 そして、皆の注目が集まる中、勇者一行へ『その大きな功績に対して、何を褒賞に望むか』との問いかけが行われた。その問いかけに、ディーンさん、ギルさん、ショーンさん、私の順に答えていく。これは事前に決めていた順番だ。



「わたしは、これからの王都での拠点を望みます」



「その願い、しかと叶えよう。勇者ディーンには、王都内の屋敷と生活の基盤となろう肥沃な領土を与えることとする」



「わたしは、王家秘蔵の魔法書の閲覧と、その使用を望みます」



「その願い、しかと叶えよう。魔術師ギルには、王家秘蔵の魔法書の自由閲覧の権利を与え、その使用を認める。そして、研究の場としての研究所を設立することを約束しよう」



「わたしは、生涯現役で前線に立つことが叶う、将軍の地位を望みます」



「その願い、しかと叶えよう。戦士ショーンには、大将軍の地位を与え、国軍をそなたに任せよう」



「私は、辺境の地トーガ村への支援を望みます」



「その願い、しかと叶えよう。トーガ村は、そなたが住んでいた村であったな。治癒術師ユーカ、そなたが望めば我が名のもと、どんな支援でも行うことを約束しよう」



 皆が順に願い事を述べ、王が次々とそれらを叶えると宣言する。どの願いも、叶えると宣言した内容には、付加要素が付いている。


 ディーンさんは『王都での拠点』を望んだけど、国内に肥沃な領土も与えられることになった。


 ギルさんは『王家秘蔵の魔法書の閲覧と使用』を望んだけど、研究所の設立も約束された。


 ショーンさんは『将軍の地位』を望んだけど、それよりも力を持ち国軍すべてを任される、大将軍という国軍トップの地位を与えられた。


 私は『村への支援を』とだけ望んだけど、“王様の名のもとで”それを叶えるという約束を得た。


 私としては、満足だ。他に特に願い事はなかったし、あとはトーガ村の皆に報告して相談すれば良いよね!



 さて、一連のセレモニーのようなものが終わり、舞踏会が幕を開けた。楽団による生演奏の中、中央ではダンスが始まっている。私は踊れないから見ているだけだけど、華やかなドレスを纏った参加者がクルクルと行き交う様子は、見ているだけでも充分楽しめた。


 ディーンさんも『俺も踊れない』と言って、さっきから私の側で一緒に見ているのだけど。じゃあ、ショーンさん達はとどこに居るのかというと…。なんとショーンさんも、ギルさんも踊れるらしい!それぞれエスコートしてきた、お姫様とダンスを始めた時にはビックリした!



(この国の人は…まさか皆踊れるの?)



 と思ったのだけど、そうではないようで。ディーンさんによると、2人とも貴族ではないけど、ギルさんは代々魔術師を多く輩出している有名な家の出身で、ショーンさんも騎士を多く輩出している有名な家の出身だから、貴族との交流もあったのだろうとのことだった。



(結構長く一緒に旅をして来たけど…まだまだ知らないことは多いんだなぁ…。ディーンさんのことも、きっと知らないことだらけだよね。どんな世界から来たのかとか、聞きにくかったのもあるけど…)



 時折、挨拶に訪れる貴族の方達と、当たり障りのない話題を交わしながら、初めての舞踏会は過ぎていくのだった。


読んでいただき、ありがとうございました。次話は、27日の11時投稿予定です。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ