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私…帰れるよね?

 ギルさんによって、王都を発ってからの旅の様子が語られていく。トーガ村での私の話が語られた時は…。



(お願いだから、こっちに質問は向けないで…!)



 一心に祈ったのが良かったのか、視線は向けられたが、特に質問は発せられなかった。


 そして、肝心の魔王討伐の詳細、魔王が最期の時に遺した言葉が語られる。


『我を倒しても、戦いは終わりはせぬ。時が経てば、また魔王は生まれるのだ。その理だけは…人間は決して覆せぬ』


 その場に居合わせた重臣の方々は一様に驚いていたようだったけれど、王様だけは違った。『やはり、そうか』と漏らしたのだ。



 王様が語るところによると、この世界では数百年に一度、魔王と呼ばれる存在が生まれ、多くの魔物によって甚大な被害がもたらされるらしい。その度に、この世界とは別の世界から強大な力を持つ者が勇者として召喚され、この世界で選ばれた者と力を合わせて、魔王討伐を果たしてきたそうだ。


 数百年に一度とはいえ、確実に生まれ出る魔王の存在。それは、下手に民衆に恐怖を与えぬよう、国を統治する者にのみ代々受け継がれている、世界的な国家秘密なのだそうだ。



 どれだけ神に請い願っても、この理だけは変わることがなかった。数百年に一度とはいえ魔王が誕生することによって、甚大な被害を受けてきた。その度に、勇者の力でなんとか討伐を果たし、国は総力を上げて、彼らの支援をしてきたのだそうだ。



(折角、皆の力で討伐を果たしたのに…数百年後にはまた…。なんか遣る瀬無いな…)



 その他、魔王討伐後の細かい報告も終えると、暗い雰囲気を払拭すべく、次の話題は凱旋パレードや晩餐会などの話となった。凱旋パレードは2日後に行われる。晩餐会はその日の夜に、舞踏会は3日後に行われるとのことだ。そして、舞踏会の際に、勇者一行に褒賞が与えられることになっているらしい。


 その場で王様に直接願いを言い、それを叶えるというのが、王の力を皆に示すためにも必要なのだそうで、事前に願いを届け出る必要はないとのこと。いきなり言われたことでも、どんなことでも叶えることができるというのを、皆に見せたいのだろう。



 晩餐会などの話も終え、各自滞在することになる部屋へと案内されるが、今夜もまた皆でギルさんの部屋へと自然と皆が集まることになった。


 シンシアが用意してくれた軽食をつまみながら話す話題は、舞踏会で願う褒賞について。何でも良いと言っても、神様じゃないと叶えられないようなことは無理だし…ね。


 そう…ディーンさんは、神によって召喚されたが、この世界で強大な力を振るう為に、この世界の理に組み込まれてしまったので、もう元の世界には戻れないのだそうだ。たとえ、神の力を持ってしても…。


 夢の世界に入り込んだ私と、神により召喚された彼とは、共通しないところもあるのだけど…別の世界から来てしまったことは同じだ。現状、私も帰れていないというのも。この話がハッピーエンドを迎えたら帰れるのではと、まだ期待は捨ててはいないけど…。最初にディーンさん達に出会った時に知った、【神に授けられた証】というのが引っかかてはいる。私がこの世界から帰れないことに、神が関わっているとしたら…?でも…。



(まだ帰れないと決まったわけじゃない!最後まで諦めちゃダメだ!)



 気を取り直して、王様に何を褒賞として貰うかの話題に参加する。ちなみに…。


 ディーンさんは、王都での拠点となる家を望むことになった。

 ギルさんは、王家秘蔵の魔法書の閲覧・使用を望むことになった。

 ショーンさんは、生涯現役で前線に立つ将軍の地位を望むことになった。

 私は…決められなかった。舞踏会までに決めればいいんだしね!


 それにしても…皆の活躍を思えば、もっと大きな望みでもいいような気もするけど。定番っぽい、『お姫様との結婚を望む!』とか、そういう願いも出るかなと思っていたんだけどなぁ。自分の願いは決められずにいるのに、人の願いについてお節介な考えを巡らすユーカなのだった。

読んでいただき、ありがとうございました。次話は、22日の11時投稿予定です。よろしくお願いします。

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