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王都到着です!

 王都まであとわずかというところまでやって来た。明日にはもう王都に到着という前の晩、宿屋の一室に集まる勇者一行の姿が見られた。


 王都に到着しても、王宮に滞在する間はシンシアが付いてくれることになっている。専属侍女として。私に侍女さんなんて…とは、もう言わない。シンシアの教育の賜物だ。というわけで、勇者一行が集まる部屋には、シンシアの姿も見られた。



「明日にはついに王都に到着だ。俺達は王宮への滞在は初めてではないから良いが、やはりユーカが心配だな」



「そうだな。王宮には我々を歓迎する者もいれば、排除しようとしてくる者もいるだろう。我々はいざとなれば、刺客であろうとねじ伏せられるが、ユーカではそうはいかないからな。ユーカ、我々以外は信用するな。誰かが不用意に近づいて来たら、考える前に身を守る結界を張れ。神級の結界を破れる刺客はさすがにいない」



「結界で自分の身さえ護ってくれていたら、後は俺達が必ず助けるからな!」



 ディーンさん、ギルさんだけでなく、ショーンさんまで…。そんなに王宮って危ないところ…?



 そんな疑問を浮かべたのが分かったのだろう。シンシアが疑問に答えてくれる。



「勇者様方を、国の英雄と讃える者もいれば、面白くないと排除しようとする者も少なからずおります。英雄と讃える者は、皆様を自分の陣営にと取り込もうとするでしょう。排除しようとする者は、過激な者は本当に刺客を送りかねません。どちらにせよ、力に勝る勇者様ではなく、非力にお見えになるユーカ様が標的となってしまいます。皆様の御心配は、決して大袈裟なものではないのです」



「そ、そうなの…。シンシアが言うなら、そうなのよね…。わかった、ここにいる皆以外は、信用しない!」



(王宮には…様々か思惑が渦巻いてるってことね。取り込もうとされても、うまくかわせないだろうし…刺客を自力で阻止するなんて絶対無理。皆の言うことを聞いて、とにかく結界を駆使して、身を守ろう…!)



 王都到着前に最後の打ち合わせを終え、明日に備えて早めに眠りにつくのだった。



 明朝、出来ればまだ明るいうちに王都に到着したいということで、日の出とともに起きての出発となった。


 途中の休憩も必要最低限だけ取り、なんとか明るいうちに王都の正門が見える位置までやって来た。正門の前には、出入りの審査待ちの列が出来ていたが、事前に話が通っているのだろう。私達を乗せた馬車はその列の横を、門番の騎士との目礼だけで通り抜けて行った。



 すでに周りからはざわめきが起きているが、勇者一行の凱旋パレードは後日することになっている。とにかく早く王宮へということで、騒ぎが大きくなる前に駆け足で王宮へと向かう勇者一行。王宮の門をくぐり抜けて、ようやく一息つけたのだった。


 王宮の敷地内に入り、しばらく進むと馬車が止まり、到着を知らされた。馬車を降りると、目の前には大きな宮殿が…。



(大き過ぎて、全貌見えないけど…!)



 荘厳な造りの王宮に目を奪われるが、シンシアに促され注意を戻す。



(ここは王宮、ここは危ないところ…)



 暗示のように繰り返しておかないと、皆に注意されたことを忘れて、王宮の雰囲気に飲まれちゃいそうだから…ね!



 侍従さんの案内で、控えの間に向かう。これから、早速王様に謁見し、魔王討伐の詳細を報告することになる。緊張はするけども、きちんと礼をとりさえすれば、報告や受け答えはギルさんが中心となってやってくれるから、私はそれを聞いていればいいのだ。


 声がかかり、謁見の間へと通される。頭を下げ待っていると、王様の到着が告げられ、王様の言葉で顔を上げる。ギルさんが一行を代表して、魔王の討伐を果たし、無事に帰還した旨を告げると、王様からそれぞれに労いの言葉がかけられる。それを受けて礼をとる。これで、私が果たすべき役割は終えた!


 詳細の報告を受けるには、謁見の間は堅苦しいと、隣の会議室のような部屋に通される。この部屋も充分立派だけれど。


 皆が席に着き終えると、早速ギルさんによって、魔王討伐の詳細が語られ始めるのだった。

読んでいただき、ありがとうございました。次話は、20日の11時投稿予定です。よろしくお願いします。

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