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魔法陣初めて見ました!

 翌朝、少女に影が立っていた場所を聞き出し、その場所に向かうことにした私達。ショーンさんは少女を村まで送り届ける為、別行動だ。


 影が立っていたという場所には、確かに強力な魔力が充満していた。そして、そこには移動魔法陣と見られる魔法陣が残っていた!これで、魔王はこの地に降り立ったのだろうか?だとしたら、この魔法陣に入れば、魔王に近づくことができるかもしれない。使わない手はないだろう。


 魔法陣はまだ魔力が残っていて使用可能な状態のようだけど、あまり時間が経つと使用できなくなってしまうかもしれない。魔法陣の周りに何も通さない強固な結界を張り、魔法陣を保護することにした。ショーンさんが戻ってくるまでには、もうちょっと時間がかかるしね。



 その間に私達は作戦会議だ。魔法陣を使用することは決定。魔法陣で移動した先が問題で、もしかすると目の前に魔王が!ってこともあり得る。魔法陣は一度に移動できるのは、大きさ的にも2人が限界だ。4人パーティである私達は、2回に分けて移動しなければならない。その組み合わせは、最終的にはこう決まった。


 まずはディーンさんとショーンさんが移動する。移動し終えたら、すぐにギルさんと私が移動。この組み合わせだ。


 最初は私を守る為にも、私と組むと言っていたディーンさん。でも、目の前に魔王が、そして周りに魔物達が居たら…。どんなにギルさんが強くても、どんなに私が強い結界を張れても、【絶対】大丈夫とは言えない。


 その点、ディーンさんとショーンさんが先に移動すれば、護りながらの戦いにはならない。互いに背中を預けながら、目の前の敵に集中できるのだ。そして、ギルさんと私が移動。ギルさんの状況判断は早いから、移動してすぐに最適な魔法を行使できるだろう。私にはまだ状況を見て即座に!というのは、難しい。だから、とにかく移動し終えたら即座に!周囲を護る結界を張る!…そう決まった。



(…皆、ごめんね?せめて人質に取られて足手まといコースは避けるから…!)



 組み合わせが決まり、細かい打ち合わせをしていた頃、ショーンさんが戻ってきた。ショーンさんにも決まったことを伝えて、了承を得た。それじゃあ、魔法陣に入る前に…皆に治癒魔法をかけよう!皆、怪我も何もしていないけれど、多少は魔力も減っているだろうし、念には念を入れて全回復の万全な状態になってもらう。私も薬液を飲み干し、準備は完了だ。



 魔法陣の周りに張った結界を解除する。もう会話はいらない。ディーンさんとショーンさんが移動前に、こっちを見たので深く頷く。ディーンさん達も頷き返すと、魔法陣に入っていった。


 魔法陣が淡く光り始めた。そして、その光はどんどん強くなり、ディーンさんとショーンさんを包み込んでいく。最後に一際明るく光ったと思うと、その直後には2人の姿は見えなくなっていた。よし、とりあえず移動成功だ。


 さて、次は私達の番だ。ギルさんを見ると、『わたし達も行くとするか』と言われ、『うん!』と力強く答える。ディーンさんとショーンさんが待っている。早く行かなければ!そう思いながら、2人同時に魔法陣の中へ足を踏み入れた。するとさっきのように光り始め、眩い光が私達を取り囲んでいく。最後の輝きを…眩しい!と思った直後には、私達の前には見知らぬ景色が広がっていた。



(ここは…どこだろう?とりあえず魔王や魔物は居ないみたいだけど…。それよりも先に移動した2人はどこだ?)



 前方には2人の姿は見えず、探そうと思ったら、後ろから『ユーカ!ギル!こっちだ!』と、ディーンさんから声がかかった。振り向いてみると、そこには確かにディーンさんとショーンさんの姿が。早速、2人が立っているところに向かい、合流した。



「ここは…どこだろう?近くには何も感じないけど、遠くに強力な魔力を感じるね…」



「近くには魔物は居ないみたいなんだがな。とりあえず、この周囲に危険はなさそうだ。でも、歩く時は慎重に歩け」



 まだ午前中だ。陽は明るいはずの時間だが、ここは少し暗い気がする。まさか夜ではないだろうけど…。まずは、ここがどこなのか?それを知るべく、行動を開始するのだった。

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