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魔王の手がかり?

 それからまた私たちは町を出て、魔王の痕跡を探しながらの魔物討伐の旅を開始した。



 それから、数ヶ月後ー・・・



 魔物が多く出没するという情報が上がってきている森の入り口に差し掛かった時、入り口から魔物が飛び出してきた……逃げ惑う少女を追って…!?


 ディーンさん、ギルさん、ショーンさんの動きは早かった。一瞬で少女と魔物との間に割って入り、魔物と対峙する。私はその間に、救援に安心し力尽きたのか、地面に倒れこんでしまった少女を結界で保護し、怪我の治癒を開始した。



【神の力によりて癒しを】



 少女を銀色の光が包み込み、みるみるうちに傷が癒されていく。これで、怪我は大丈夫だ。倒れこんだ時に気を失ってしまったようだけど、呼吸はあるし顔色も戻っているから大丈夫だろう。



(魔物を退治し終えるまでは、むしろ起きないで!起きてもパニックになるだけだし!)



 注意を少女から魔物に向けると、まさに皆が討伐の真っ最中。闘いで流れる血の臭いを感じたのか、森からは魔物が次々と現れ出てきた。魔物の討伐が目的だし、いつもなら迷いなく殲滅させるだけだけれど、今はいつもとは違って少女がいる。いつ目覚めるかもわからないのに、このまま現れ続ける魔物を討伐し続けるのはキリがないし、区切りをつけた方がいいだろう。


 せめて、これ以上は血の臭いを嗅ぎつけて魔物が森から現れ出さないように、私と少女を護る結界とは別に、魔物と対峙するディーンさん達を囲うように広範囲に結界を張る。これで、血の臭いは漏れ出さないはず。あとは、今出て来ている魔物を討伐するだけだ。



 少女を気にかけながらも、ディーンさん達を見守る。数が多いし、さすがに怪我を負っている。大きな怪我は負いませんように!


 ディーンさんが最後の一体を剣で斬り伏さた。やった!討伐終了だ!もう新手の魔物は現れ出ないようだ。それを確認すると、広範囲に張っていた結界を縮小し、私達を囲うだけのものに張り直した。


 ディーンさん達の負った怪我を治癒し終えると、皆の注目は少女へと向かった。なぜこのような危険な場所に、子どもが1人きりでいたのか。


 それに、何よりも…。この少女からは微かに魔王の魔力らしき残渣を感じるのだ。最初は気のせいかと思っていた。この少女は、どこにでも居そうなごく普通の子どもで、普通では魔王と接することなどあり得ないのだから。


 しかし、皆も討伐を終え少女に近付いてみて、その魔力を感じ取ったようだ。皆が感じるということは、気のせいではないのだろう。だとしたら、この少女と魔王の間にどんな接点があるというのか、何故魔物から逃げるという事態になったのか…。


 確認したいことは山積みだ。かといって無理矢理に目覚めさせるのも躊躇われ、少女が目を覚ますのを暫し待つのだった。



 少女が目を覚ましたのは、今日はここで野営をしようと決まり、その準備が整った頃だった。



「…あれ?わたし…?」



「…っ!目が覚めた?!大丈夫?」



「わたし確か魔物から逃げてて…」



「そうだよ。魔物から逃げている貴方を見つけて、あそこに居るお兄さん達が退治したの。怪我は治したけど、痛いところはない?」



「うん…大丈夫。あの…ありがとう!」



「良いのよ。少しお話が聞きたいんだけど、大丈夫かな?」



「大丈夫です!お話って何ですか?」



 少女の返事を聞いて、ディーンさん達にも集まってもらい、話を聞くことにしたのだった。



 少女が語った内容は驚きのものだった。彼女には妹がいて、熱を出して寝込んでしまった妹を心配して、危険だから近付いてはダメだと言われていた森に、薬草を摘みに行ってしまったのだそうだ。薬草が生えているのは、森の入り口付近だし、魔物が住みつく前は遊び場にしていた森だから、隠れるところだっていっぱい知っている!魔物を実際に見たことが無いからこその無謀な勇気の元、薬草採取に森を訪れた彼女は、そこであるものを見てしまった。


 薬草を探して森に入ると、誰か先客が居るのに気づいた彼女は、その影が大きかったことから、大人だと思った。約束を破って森に来てしまっている彼女は、咄嗟に木の洞に身を潜め様子を伺った。


 その大きな影は、彼女には聞き覚えのない言葉で呪文のようなものを唱え始めた。すると、影の周りに突如恐ろしい魔物達が現れ出したのだ。その恐ろさに、つい声が漏れてしまい、魔物に追われることになってしまった。あっという間に追いつかれそうになったが、死に物狂いに走ったことと、森の出口が近かったこともあって、逃げる際に怪我を負いながらも、追いつかれる前になんとか森を抜け出すことが出来た。そして、私達に助けられたのだそうだ。



 少女から聞き終えた私達は、驚きを隠せなかった。確かに彼女からは、魔王の魔力らしき残渣を感じ取ることが出来た。ということは、その大きな影は魔王…?魔王自らが、魔物を各地に生み出して回っているというのか…?



 少女を先に休ませると、私達は少女から聞いた話について遅くまで話し合いを続けることになったのだったー・・・

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