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町の人に癒しの力を!

 今日は朝から治癒にあたるべく、宿屋を出て町長さん宅に向かった。初級から中級魔法まででは対処できない病や怪我を負った人達を、町長さん宅で治癒するのだ。患者さんにそこまで来てもらうのも大変なのだけど、私が巡回していたら移動の時間に大部分を取られてしまって、治癒できる患者さんの数が少なくなってしまう。


 町長さんからも、できるだけ多くの患者さんを救って欲しいと請われ、町長さん宅までは家族やご近所さん方にも協力してもらって、なんとか連れて来てもらうことになっている。幸いといっていいのか、それでも移動が難しいという患者さんは今は居ないようだ。



 町長さん宅に着くと、すでに町長さん宅前にはたくさんの人達が。患者さんを連れて来てくれた家族やご近所さん方のようだ。さすがに町長さん宅でも、全員は入りきれないので、中への付き添いは1人までに決まっている。


 集まった人々の注目を浴びながら、町長さん宅に入る。注目を集める半分以上の理由は、隣のディーンさんとギルさんだろう。


 そう!なんと今日はディーンさんだけでなく、ギルさんまで私の【付き添い】で来ているのだ…!


 今までの流れから、1人で行くのは無理だろうと思い、せめてもの主張で【付き添い】は1人までだと言ったのだけど…。『それは患者のことだろう』と、聞き流されたのだった…。



 ディーンさんは…過保護だから。ギルさんは…研究熱心だから。ギルさんは治癒魔法は使えないけれど、研究は別らしい。魔王討伐を成し遂げた後は、全ての魔法を対象に研究をしていくんだって。そんな理由で、勇者一行の3/4が揃っているのである。しかも、ディーンさんもギルさんも、人を惹きつける魅力の持ち主ときたら、注目を集めるのは当たり前だよね…。



 町長さん宅に入ると、玄関ホールが待合室となっていて、たくさんの患者さんの姿が。気を引き締めると、治癒を行うことになっている部屋へと向かった。


 午前中ー・・・多くの患者が神の奇跡に感謝した。神級治癒魔法が生み出す神聖なる光に、その光によって癒されていくという奇跡に。思わず祈り出す者、喜びの涙を流す者、ただただ無言で光を見つめる者…反応は様々だったが、皆が神に、そしてユーカ自身に感謝した。



 午前中いっぱいで無事に治癒を終えたユーカは、町長夫人に淹れてもらったお茶を飲みながら、ホッと一息ついていた。失明寸前の患者さんや、不治の病と闘っていた患者さんなど、神級魔法でしか癒されない患者さんが多くいた。だが、神級魔法ですら癒すことができない病や怪我を負った患者さんは居なかった。なんとか全員を無事に癒し終えたことに、安堵するユーカなのだった。



「お疲れだったな。ユーカの保有魔力であれば大丈夫だろうが、さすがに疲れたのではないか?」



「ううん、まだ魔力も残ってるし大丈夫。今は無事に終わったから、なんか力が抜けちゃって」



 労いの言葉を掛けてくれるギルさんに、『大丈夫』だと答える。実際のところ本当に大丈夫だし、ここでもし『疲れた』なんて言ってしまったら、横に座っている【過保護さん】が…ね。今も『本当に大丈夫なのか?』との視線を感じるし…!


 お昼からは宿屋に戻ってゆっくりするつもりだし、明日の朝には魔力も全快しているだろう。それよりも…。



「ちょうどお昼だし、どこかでお昼ご飯食べて帰らない?宿屋のご飯も美味しいけど、折角時間があるから違うお店でも食べてみたいんだけど」



 そう提案すると、『それならショーンにも声を掛けよう』ということになった。ショーンさんには、外で遊んでいた男の子に頼んでひとっ走りしてもらい、お店で合流することにした。


 お店に着くと、程なくしてショーンさんもやって来た。魔王討伐の旅だし、ゆっくり観光なんかは出来ないけど、空いた時間にランチを楽しむくらいはしても良いと思うんだ。美味しい料理に舌鼓を打ちながら、平穏な一時を楽しむのだった。

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