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勇者の思いは?

 魔物を討伐しまくること数日。私達が通って来た道には、魔物は残っていないだろう…きっと。それくらい、徹底的に討伐していったのだ。これで、この地域はしばらく大丈夫だろう。魔王を討伐しなければ、またいつか魔物が出没し始めるのだろうけども…。


 さて、魔物の討伐には何ら問題はなかったが、魔王の足跡や情報も何ら見つからなかった。見つからないまま、魔物の討伐だけが進み、次の補給地の町へ着いてしまったのだ。



(まぁ、まだまだ旅の序盤だもんね。序盤で魔王の情報あっさり見つけて、あっさり魔王の討伐へ!討伐完了!ってのは、なかなか無いよね。気にしない、気にしない!っと)



 補給に立ち寄った町では、また町長さん達に迎えられ、歓待を受けた。といっても、ゆっくりはしてられない。その日の夜に歓迎の宴を開いてくれるということで、もちろん宴には参加する。時間を有効にということで、宴までの間にさっと補給を済ませる。そして…翌朝には出発だ。


 慌ただしいけど、仕方ない。でも、1日でもベッドで眠れるのはいいことだ。ベッドで眠ると、疲れの取れ具合が違うしね。それに、お風呂にだって入れる!


 旅の間も、水浴びはできる。不透明の結界を張って、水を生成するだけなら私の魔法でできるから、さっと水浴びはしているんだ。でも…お湯は出せないんだよね…。それに、いくら外から見えない結界を張っていても、結界を隔てたすぐ傍には、ディーンさん達がいるのだ。まったく落ち着かない…!



(1日の短期滞在でも、しっかりお風呂とベッドでの睡眠を堪能しなきゃ!)



 翌朝出発ということで、宴は早めに退出させてもらって、早々に眠りにつく。せっかく開いてくれた宴だけど、町長さんとしては【宴を開いた】ということと、その宴に【勇者一行が顔を出した】ということが大事なのだ。勇者一行には協力を惜しまないというのを、行動で示さないといけないのだろう。だから、私達は私達のタイミングで退出してオッケー。町民の人達はまだまだ宴を楽しんでいるようだし、町民の人達の楽しみだって必要。宴も無駄なことではないのだ。



 翌朝、もう少しベッドでの睡眠を味わいたい気持ちを抑え込み、日の出と同時に起きて、早速出発だ。


 次の魔物の討伐地は、この町から歩いて数日はかかるんだって。そこから討伐を始めて、次の補給地の町へ着くのは…今から1ヶ月後くらい?



(さよなら…ベッド。さよなら…お風呂。また1ヶ月後にね…!)



 宿の部屋を出る時にベッドを未練がましく見つめてしまったけど…それくらいは許されるはずだ。



 今回は次の補給が1ヶ月後ということで、薬液も多めに用意した。薬液1本1本の重さはたいしたことないけれど、量が多くなるとさすがに重い。でも、治癒は私の唯一の役目だし!と、気合いを入れ直して重たい荷物を持ち上げようとしたのだけど…。さっと横からディーンさんが、薬液の入った袋を持ち上げてしまった。



「これくらい自分で持てるから大丈夫だよ!ディーンさんも、自分の荷物があるんだから!」



「いつもより多いんだろう?旅は長いんだ。無理はするな」



「で、でも…!ディーンさんは、戦わなきゃなのに、荷物が多かったら邪魔じゃない!やっぱり私が持つ!」



「戦闘中はユーカに預ける。大丈夫だ」



 しばらく、こんなやり取りが続いたけど、ディーンさんが譲ってくれる気配すらないから、一旦諦めて持ってもらうことにする。



(ディーンさんが荷物を置いたら…戦闘が終わったら…次は自分で持つんだ!ディーンさんは、ちょっと過保護過ぎると思んだよね。ショーンさんは笑って見てるだけだし、ギルさんは…関心なし?)



 勇者一行の旅は、魔物との戦闘中以外は、ペースは随分と早いものの、平和なものだった。


 ユーカにとっては、過保護過ぎだと感じる…お兄さんみたいな存在のディーン。でも、そう思っているのはユーカだけ。そんな2人のやり取りは、はたから見ている分には面白いものだ。ショーンは隠すことなく笑っているし、実はギルも無関心のようで、微笑ましく思っているのだ。



 はてさて、勇者ディーンの思いにユーカが気づくのはいつになるのか…。


 といっても、まずは魔物の討伐。そして、魔王を打ち倒すまでは、そんなことは言ってられないのだがー・・・

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