趣味は読書と睡眠です!
西崎優香、26歳。大学進学の際に出てきたこの街で、そのまま就職。現在も実家を離れて一人暮らし中だ。仕事は順調だし、大学時代の友達も何人か近くに住んでいて、休日はよく何人かで集まっている。そんな感じで、自由気ままな生活を満喫中だ。恋人は…現在募集中?
仕事を終えて職場から程近い市立図書館に行くのは毎日の日課で、すっかり図書館の常連になっている。図書館の司書さんとも顔馴染みだ。さすがに閉館時間までに仕事が終わらなかった時は、諦めるしかないのだけど…。たいてい何冊か借りているから1日くらい行けなくても平気だけど、もしもその日に読む本がなければ、図書館は諦めて本屋さんに直行だ。読む本が無いというのは、私的に許せないから。
昨日読み終えた本を返却し、早速今日借りる本を選びに書架に向かった。ファンタジー小説、恋愛小説、ミステリー小説、時代小説などなど、読む本のジャンルは問わない。自他ともに認める大の読書好きだ。風邪をこじらせて高熱が出た時など…そういったよっぽどのことがない限り、本を1ページも読まないなんて日は、小学校で読書の楽しさに気づいてからこれまでの間、一度もなかった。
新着本が並ぶ書架へ向かうと、1冊の本が目に留まった。幕末期が舞台の短編の時代小説のようだ。今日は残業もなかったから時間にゆとりがあるし、この本くらいなら今日のうちに読みきれそうかな…?そう思い、その本を手に取り貸し出しカウンターへ向かった。貸し出し手続きを済ませ、顔馴染みになった司書さんと少し世間話。そして、図書館を出てスーパーで夜ご飯の買い出しをし、帰宅する。
帰宅後、まずは夜ご飯を作って食べる。洗い物を片付けた後は、お湯を沸かして紅茶を淹れる。ソファに座り、紅茶は机の上へセットする。準備は万端!さぁ、これから読書タイムだ!
小説を読み始めると時間が経つのはあっという間だ。小説を読み終えた頃には、たっぷりと淹れていた紅茶もなくなってしまった。読書を終え、次はお風呂に入る。そして、その後は読書の次に楽しみな就寝時間だ!
就寝時間が楽しみって言うと、『どれだけ寝るのが好きなの?!』と周りからは言われるのだけど…。確かに寝ることも好きだけど、楽しみなのは寝ること自体ではなくて、寝ている間に見る【夢】なのだ!
読み終えた本を枕の傍に置いて寝ると、その日は必ずその本の登場人物になりきった夢が見られるのだ!夢の中ではこれは夢だという認識もあって、【優香】の意識と登場人物の意識がうまく混ざりあっている感じ。そして、本の世界を登場人物になりきって動き回れるのだ。
基本は本のストーリーに沿っての動きだけど、ストーリーに支障がない範囲なら、優香としてやってみたいと思ったことも体験できたりする。そんな場面が本の中になくても大丈夫だ。これがすごく楽しいのだ!本の世界にどっぷりと浸れるし、新しい発見もたくさんできるからね!夢の世界で眠りにつき目覚めると、現実でも朝になっているというのが、いつものパターン。
【夢】の話をすると、『想像力が豊かだね』とちょっと笑われたりする。だから、このことはすごく親しい友人にしか言っていない。【夢】は自分だけの楽しみだしね。
今夜も、今日読み終わったばかりの時代小説を枕の傍に置いて眠りについた。今日はどの登場人物になるのかな…。そう、夢の中でどの登場人物になるかは選べないのだ。だから、夢を見てからのお楽しみだ。主人公になってみるのはもちろん楽しいけど、脇役目線で本の世界を動き回るのも楽しいものだからね!
・・・夢の世界では、江戸も幕末期。私は寺子屋のお師匠さんになりきって、子どもたちに手習いを教えている。日中は岡っ引きの弥吉さんが時たま顔を覗かせていく。なにか困ったことがあったらいつでも相談しろというのが口癖で、気安くお茶を飲んで休んでいくのだ。
そう、この小説の主人公は岡っ引きの弥吉さん。弥吉さんが江戸で起きる様々な事件を、多くの人と関わりながら解決させていくという話だ。私が夢でなりきっているのも、弥吉さんが関わっていく町人の一人。
夢の中でも弥吉さんは見事な手腕を発揮して、事件を解決させていく。今日は事件を無事に解決させた弥吉さんが、またその話をおもしろおかしく話しにきてくれたのだ。話し方がうまいから、熱心に聞いてしまって、子ども達に少し呆れられてしまった…。そんな風に子ども達を教え、弥吉さんをはじめとしたご近所の人たちとのおしゃべりを楽しんで、お師匠さんの1日は終わる。
今夜は就寝だ。明日も1日頑張らないと・・・
そこで、目が覚める。カーテンの隙間から気持ちの良い朝日が差し込んでいる。夢の内容ははっきりと覚えていることが多い。今朝もそうだ。
楽しい夢だった!そう思いながら、起き上がる。現実世界での1日のスタートだ。今日も1日仕事を頑張ろう!!また今夜の読書タイムと夢の時間を楽しみに・・・。