Ⅱ 記憶。
「まだ分からないの?。」
川上先生は私を問い詰める。
ここは、学校の近くのファミレス。
川上先生と私、佐藤先生(ちなみに佐藤先生は1年5組担任。)と1年2組を担任する水浦先生の4人で来ている。
「すみません…。」
うつむき加減に言う。
「いやいや…、謝らなくてもいいけど、じゃあ、俺のことも覚えてない?。」
水浦先生は私の顔を覗き込んで言った。
「はい。」
「あのね、愛菜と淳一…水浦先生は付き合ってたんだよ。中学の時。」
川上先生はさっき頼んだばっかりの生ビールを飲みほした。
「そうなんだよ。でも、愛菜が引っ越してしまって、すぐに音信不通にな
って、ずっとさがしてた。」
水浦先生はホッとした顔を見せたが、私にはどうしても思い出せなかった。
「ごめんなさい、でも、思い出せなくて…。私、こんなこと言っても信じてもらえないと思うけど、中学生よりも前の時の記憶がなくて。」
「そっか…。」
水浦先生はそう言って、たくさんのプリクラを並べた。
女の子が二人と、男の子が二人。
「俺と、佐藤先生、川上先生、愛菜…朝川先生でとったやつだよ。」
家に帰ると、速攻で、私が記憶をなくす前に使っていたものなどが置かれている部屋へむかった。
私の両親は、私が記憶をなくす前のものはすべてしまった。
思い出さないように。私に嫌な思いをさせないために。
私自身も思い出すのが怖かったから、一度もその部屋にはいったことがなかった。
部屋の電気をつけると、すぐ目についた。
「愛菜 中学生」
段ボールに入っていた。
段ボールを開けると、始めにアルバムが出てきた。
ぺらぺら、とめくる。
川上先生…と、佐藤先生、水浦先生と私。
4人のたくさんの写真が出てきた。
海や、お祭り、修学旅行…。
寄せ書き、制服。キーホルダー、CD、ゴム、名札、ノート。
何でも出てきた。
1番したに、四角い箱。
開けてみた。
読んでいただいてありがとうございます。
次回もお楽しみに。