S・Sが死んだ未来
「起きろ」
「…………」
「起きろ、君。もう朝だぞ。すがすがしい朝だ」
「……あさ?」
「そう。朝」
「……何時?」
「五時くらいだな」
「……ちょっと早すぎやしませんかぁ……」
「いいから起きろ! いい知らせがあるんだ。まずは顔を洗ってくるといい。それからご飯を食べよう。その後にいい知らせを教えてやる。さあ、早く! 起きろ!」
「わーったわーったあんまし騒がないでよ……あー……なんかすごく疲れてる……なんでだろ……」
「夢でも見たのか?」
「……見た。すっごい幸せな夢だった気がする」
「そうか。実は私も幸せな夢を見た」
「本当?」
「ああ。残念ながら、最後の最後で君に呼び止められてしまったがね」
「……?」
「まあそれはいい! それより早く準備だ! さあさあ、ご飯の方はよろしく頼むぞ」
「きみもいい加減自炊ってことを覚えたほうが……」
「必要ないさ。君がいるからな」
「……プロポーズのつもり?」
「そうかもしれん!」
「なっ、なんじゃい!? やけに自信満々じゃない!?」
「まあな! いや、もはや自信というより確信に近いぞ。うむ、間違いない。私と君は人生をともに歩む運命にある!」
「……よっぽどいいニュースが入ってきたみたいだね?」
「そういうことだ」
「……ちょっとだけでも、教えてくれないかなー?」
「まずは起きるべきじゃないのかぁ?」
「言ってくれたら起きるよ」
「ふん。脅迫とはいい度胸だな」
「いや脅迫ってほどのもんじゃないよね……」
「まあいい。それならちょっとだけ教えてやろう。耳を貸せ」
「はいはい……どうぞ」
「…………」
「…………」
「……ふふ……ふはは……」
「……? どしたの?」
「叶うぞ」
「……叶う?」
「そうだ――叶うんだ! 君の望みも、私の夢も……二ついっしょに、叶う時が来た! 君が望んだ未来も、私の夢見た未来も――すぐ目の前までやってきたんだよっ!」
「……へえ?」