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たいとる  作者: たかなし
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大学/帰路

教職の授業はこれといった展開もなく、黙々と教授の話を聞いて終わった。


僕はサークルには所属しておらず、そのまま駅に向かって一人で帰るのが普通だった。

教職の仲間はほとんどがサークルに入っていたので、授業が終わった後は大概一人だった。

だけど今日は違った。




?「あれ?小鳥遊くんもこっちだったんだ。」



後ろから聞いたことのある声で僕の名前を呼ばれたので振り向くと、


肩にバッグを提げ、両手で大事そうに箱を抱える女性が小走りで向かってきた。



僕「ん…あぁ、相良さん。今日はサークルは?」


相良「いやぁ、流石にこの子がいたんじゃ…ね。」



といって相良さんは目線を箱に落とした。

中からは相変わらず、か細い声でニャーと聞こえてくる。



相良「ありゃ。ビックリさせちゃったかな?」


ごめんね、とやさしい顔で箱に謝罪の言葉をかける。



僕「その子の名前はもう決めたの?」


相良「いや、まだだよー。候補は一応あるんだけどねぇ。家族と相談かな!」


僕「いいなぁー。うちはペット禁止なんよ。」


そうなんだーと相良さんは応えていたが、心ここにあらず。箱の蓋を開けてニマニマしていた。

僕はそんな相良さんを見て、器用な人だなーと思った。




駅に着き、改札を通る。


さっき以来、あまり会話が弾まない。


どんなことを話題にすればいいのかわからなかった。

なにせ女の子と二人きりでこんなに話したのは久々だった。





アナウンスが流れ、電車がすぐ来た。






僕はこの雰囲気の空気を気まずいと悟ったが、相良さんはそれほどでもない様子で僕に話しかけた。






相良「そういえばさ、教職初日のこと覚えてる?」




猫とは関係ない話で少し驚いたが、すぐに順応した。




僕「うむ。覚えてるよ?教授が『アムロです』って言ったことっしょ。」


相良「あー!そんなこともあったねぇ。あのときは笑いこらえるので必死だったよ。」



それよりも…と相良さんは続けた。



相良「学生課の前でなんで叫んでたん?w」




僕は最初、疑問符が出たがすぐに解消された。教職の申請書を提出にいったときだ。




僕「いや、書類破っちゃって。てかなんで知ってるん?あのとき近くいた?」



あははと相良さんは笑った。



相良「やっぱり気付いてなかったのね。まぁ無理ないかwあのときは気合入れて化粧してたしなぁw」


僕「え?あああの目が合った人か!」



少しどもったけど気にしない。驚きのが大きい。



相良「そうよーwあのときいきなり叫び声が聞こえてびっくりしたんだから。」


相良「イグイグもあの日『トイレでなんか変な奴いた』って言ってて誰かと思ったら小鳥遊くんなんだもんw絡むしかないと思ったよねw」



僕は周りからそんな風に思われていると知って恥ずかしくなった。

ちなみに、イグイグとは純の他の場所でのあだ名だ。

イグアナが大好きで、家にも2匹飼っているらしい。






アドレス教えてよと頼まれたので、赤外線で交換した。

終わった時、電車のアナウンスが流れた。



相良「あ、私ここなんだ。じゃあまた明日!」


僕「また明日ー。名前決まったら教えて!」



オッケー!と言って相良さんは降りた。




相良さんが降りていった駅は利用者が多いらしく、階段とエスカレータ付近はすぐ人で溢れ返るのが見えた。

相良さんは猫が入った箱のスペースを確保しながら人の波に消えていく。同時に電車が動き出した。







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