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第8話:後先のことも考えて

 第8話:後先のことも考えて 2010年 12月 09日 (Thu) 18時 32分 08秒




 私はいつの間にか建設されていた風の神殿に設置してある航空の管理室にいるチアキを訪ねた。


 「ち~あ~き~、話を整理しよう。」


 「嫌だ、帰れ。」


 「酷! 私達、恋人でしょ!?」


 よし、まずは根拠の無いことを言って同様させてみよう。


 「は? 誰が貴様の恋人だ、戯けるな。」


 「じゃあ幼馴染?」


 「生憎俺にとって宿主程度だな、俺は寄生虫、貴様は動物、まぁこんなべったりなのは動物でもありえんけどな。」


 自虐!?


 「って私珍獣扱い!? ペット!? 面白いペットなの!?」


 「いや、面白くない。そして動物としても認識できないほどのウザさ。そして面白いペットだと? むしろ見て哀れに感じ、俺の方が恥ずかしくなってくる。」


 「な、何か予想外すぎる……。」


 「お前……本当に見て哀れ。」


 「普通チアキの性格のキャラが言うそこのセリフは『お前……面白い奴だな』で、私はドキッってなるんだよ!?」


 「誰が言うか、俺は俺だ、お前の頭の中にあるクレヨンで書いたお花畑のような人物じゃない。」


 「ヒドイ! 普通お花畑のような人物じゃないなら分かるけど、クレヨンで書いたって言うのが更にヒドイ!」


 「黙れゴミクズ。」


 シェンラン製の鉄で作られたゴブレットを利き手じゃない左手でひしゃげた。


 ヒィ!?


 い、いくら異世界で鉄がそんなに強度無いからって利き手じゃない片手でグチャってどんだけ怒ってるの!?


 「――ホントうざい、まぁいい。やってやる。」


 ――コレはデレじゃなくて心からショウガネェって考えてる……。


 「まず、ここは異世界のシェンランという国で、風の神殿を要する五王国のひとつ、どうやら地下もあるらしいが、まぁ今の機会は邪魔だから話さない。」


 へー、地下……地底人!? って、今はおいておこう。


 「わたし、大月千尋と小日智明は皆既日食の最中、ここへ来てしまった。

 認めたくないけど、私は精霊を従える力持つ巫女で、太陽と月の巫女、と呼ばれる存在らしい。」


 「そして皆既日食の周期にあわせて異界より巫女と呼ばれるアマが現われるのは、時代時代に一人。

 俺の調査によるとこの神殿以外にも別世界への空間の穴は少量だが発見できた、可能性としてはかなり低いが、この世界に迷い込むのはありえる。」


 「黒髪に月色の瞳の巫女は、今までいなかったらしい。」


 「ま、俺達人間の眼は黒メラニンの量で色が変わる、大体が今のところ20代以上が多く、若くて十代後半。

 俺やお前のようにこの年で目が黒いのは大して珍しいことでは本当は無い、日本人である限り、幼児は全員この色、それが年を取るごとに茶色へ変化していく。

 たかがそれだけ、俺達は黒メラニンが常人よりも多く、その色が変化するパターンが無いだけ。

 むしろ異色である緑、グレー、水色、紫などは現実的に存在はするが、まぁ関係は無いな。

 たかが眼の異常性だけで世界が変わるなどくだらない。」


 そーいえば、マグマ・フレイムも茶色が目立たないほど黒い眼ですよ~。


 「黒髪、黒目の娘は黒い太陽の巫女姫、と呼ばれ、五つの国の何れかに居を構えるらしいんだよね。」


 「その際、国の権威を誇示するためか、精霊を従えることのできる巫女姫の、周囲への影響を考えてか、その国の国王と結婚する。」


 「これって力関係考えると……強いのは、国かな? 巫女姫かな? 今のとこ、私の味方は、風の精霊と火の精霊だね。それと雷の精霊。」


 風が吹いたりチアキに改造されたろうそくの火が動いたり、試作品の蛍光灯がペカーって光った。


 でもチアキが睨んだらピタっと止まった……。


 「そして、他の味方は風の長と名乗ってくれたカーシャさん。あと、情報をくれる侍女サンたち。

 そして……夢に出てきた巫女様。」


 「は? 何を戯けている? 夢? 怨念の間違いじゃないか?」


 こ、コイツ雷の精霊で私の記憶をデータ化し、パソコンに送って見てやがる……。


 そういえばさっきチアキに嫌な夢見たからどう言うことか解明してってお願いしたんだった。


 「――うん、味方かって言えば首を傾げる存在よね。一方的に夢ん中で感情曝け出していた人だし。46年も前の失踪女性なんてわたし、知らないもん。」


 「それはそうだな、だが偶然にも46年前の日食に関わる新聞では本当に存在していた。」


 「ってオイ!」私は思わず突っ込んだ。


 「黙れ。」


 「ハイ……。まあ、今わかっていることはこれぐらいか。そして、最大の難点は。このままだと間違いなく太陽と月の姫巫女にされて、どっかの国の権威の為に、王様と結婚させられるってことか。」


 「で、お前はどうすんだ?」


 「……逃げる。けど、状況もわかんないまま逃げ出してもやがて捕まる、よねぇ……。

 だから、状況を見よう。味方になってくれそうな人の元に逃れるか、無理なら、少しでも悪意の無い人の下で、知識を得よう。

 そのためには、もっと私を……太陽と月の巫女のことを知らなければならない。「わたし」がどれほどの力を持つのか……「わたし」はどれほどの影響力を持つのか。私は私の為に知らねばならない。」


 「それが決心か。」


 「うん。」


 「だがな、お前に対して完全に敵意があるなら、味方になる者たちがいずれ死ぬかもしれんぞ?」


 「ぁ……。」


 「後先を考えろ、甘えるな。自ら立ち向かえ。」


 ――そっか、逃げちゃ駄目だよね……王子ども、私が見返してやる!


 言って置くけどチアキには勝てないからって私が弱いわけじゃないんだから!


 チアキが強すぎるだけ……。


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