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第5話:チアキの存在は衝撃?

 第五話:チアキの存在は衝撃? 2010年 11月 20日 (Sat) 15時 58分 55秒



 「まずは、チアキの前に料理を作ってくださった方に感謝を。」

 「チヒロさま。やはりおくちにはあわなかったようですね……チアキ様の料理はあんなに幸せそうに食べてましたから……。」


 そらそーでしょ? あんな不味い物……。

 「だだ漏れ」

 「すいません。……えーと、やはりって事は、前の巫女さまも?」

 「衰弱した体に一番の食材である、トカの実を、それはもうすごい勢いで拒否なさったそうです。」

 「……トカの実って? ここにあります?」

 チアキによってすばらしい物へ変わった料理の数々を指し示すと、カーシャは一皿を持ち上げて示した。

「この最初の料理、これですわ。」


 見た目ソーセージはなんかの実だったのですか……。っていうか、獣臭しかしなかったし、最早、獣味の木の実っていったい……。どんな栄養素を取ったらこんな味の木の実ができるのさ。光合成してるのか?それとも食虫植物みたいに獣を取り込んで、と、溶かしちゃってたり……まぁチアキによって美味しくなったからいっか。


 「案外簡単な奴だな。」


 うーちゃいわね。


 「にしてもチアキが居なかったら大変だっただろうなぁ……たとえばこれなんて……私の世界ではパン、ブレッドとも言いますが、主に主食として食べる穀物を使った物にそっくりです。こんな硬いものじゃありませんし、味もぜんぜん違います。」

 「チヒロさまのおられた世界はいろいろな食べ物があるのですね」

 カーシャの不思議そうな瞳に、私はようやく気がついた。

 「……前の巫女さまは、食の改善はなさらなかったのですか?塩や砂糖ぐらいはここでも手に入るでしょう?」

 「……前の巫女さまの導き人は、チアキ様と同じで男性で、戦士でした。46年前は今ほどこの世界は平和ではなかったのです。食べ物よりもまず生きることを強要されて、ようやく落ち着いたころには、黒い太陽の巫女姫としての責務がおありで。晩年はもう一度、ちょこれと、と、かるめる、が食べたいと仰っていたそうです。……わたしは、巫女様がお亡くなりになられた年に風の長を継いだので、実際にはお話をしたことがないのです。遠くから、お姿を拝見するのみで、そんなご苦労をされていたことを知ったのも、この風の神殿へ上ってからのことでした。」


 「ちょこれとは、チョコレートでかるめる、はキャラメルかカラメリゼのどっちかだろうな。」


 「どちらも甘くて美味しいお菓子ですよ。でもそれに近い物もないってことですね……? 晩年の言葉で残ってるくらいなんだから。ま、まさか、砂糖も、ない?塩は? ――お菓子ってないんですか? 甘くて幸せになれる午後のひと時!」


 生山葵の青唐辛子ソースがけより衝撃の事実。


 私の落ちたこの世界には、スイーツの類がないらしい・・・。


 「甘いもの・ですか?え、ええと、その・・・」


 なぜか歯切れの悪いカーシャに、私は畳み掛けた。


 「あるんですか!」


 「あの、この世界には、『甘露』と呼ばれるものがあります。『甘露』とは、その、巫女姫様の体液を指します。それはそれは、甘く一度口にすると忘れられないほどの美味だそうで、巫女姫様の信頼する一部の者しか受け取ることのできない、至上にして至高の稀なる雫であると……。


 「下ネタじゃねぇか。」


 そうだよね!? そうだよね!? ――エロ! ん? 巫女姫様……?


 「――ちょっとまった。巫女姫様?って私のことでしたっけ……」


 「はい」


 ぐおううおおおおん


 風が、突風となってあたりを吹きまわり、黒髪が竜のようにうねった。


 世界は、世界は、何を思って私をここへ叩き込んだのさ!


 私がスイーツってなんなのさ!


 せ、せめて食われるならチアキに……って何を私は考えてるのよ!!!


 「チヒロ、勝手に妄想はしても良いがクネクネするな、ハッキリ言ってウザイ。」


 ――私はチアキにとってスイーツよりも残飯にしか感じないのだろう……。


 「ああ、ハッキリ言ってお前を狙う奴らはそれを食らおうとするゴキブリにしか見えんがね。」


 オイオイオイオイ、完全に王様に喧嘩売ったよこの人……。


 「にしても甘いもの……。」


 「はぁ……大丈夫だ、砂糖黍と砂糖大根、その他多くの種が俺の研究サンプルの箱に入っているから地球での食事は大丈夫だろう。」


 「どう考えても時間がかかるでしょ!」


 「馬鹿かお前は? 精霊と手を組めば植物に芽を出させ、成長させ、花をつかせ、種を作るのは容易いぞ。」


 な、何てチート能力。


 「それに俺は精霊の進化も手伝うことになっている。」


 「精霊の進化?」


 「簡単に精霊に属性を追加したり、精霊の人口を増やしてやるんだよ。まずは新種で雷の精霊が完成した、だから俺たちの電化製品全てを壊れたりしないように管理してもらってる。」


 「どうやって作った(?)のよ……。」


 「簡単に電気ってのは摩擦などのエネルギーから発生する、だから水、土、火、風の4つは全て電気に変われる概念がある、そして俺たちの電化製品に精霊が発生する条件にしたらそこからも生まれた。」


 「うわ……。」


 「それからチヒロ、どうやらこの世界は奴隷制度もある、気をつけろ?」


 「ひぃ!?」


 すごい嫌な世界じゃん!


 「俺の部下となった5LVの精霊数100体にそういう場所を徹底的に破壊してもらってる。」


 「オイオイ、ってLVって何!? RPGゲーム!?」


 「簡単にお前と交信した精霊いただろ? あれはLV1、普通は集まって大きな力を出すが、レベル=人数と同じ力を持っているって訳だ。」


 「す、スゴ!」


 「そういう訳で俺は仕事をしてくる。」


 「また仕事……。――そういえばチアキ……異世界に来ても仕事ばっかりだなぁ……。」


 「当たり前だ、何せ_まぁとにかくお前は遊んでろ。」


 チアキの言葉は突然止まり、そのままその言葉を言うことは無かった


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