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第十五話:お茶会。そして変態は!

第十五話:お茶会。そして変態は! 2011年 02月 26日 (Sat) 01時 11分 45秒



 ――ちょっと叫んでみようかと思います。ここまで溜まったフラストレーション、どうして晴らさずにいられましょうか。立ち上がり、肩幅まで両足を開き、大地を踏みしめ、すううっと息を大きく吸って。


 「セクハランのむっつりすけべえええええええええっっ!!!」

 「インランのボケなすうううううううううううううっっ!!!」


 ああ、すっきりした。周りに控えてる侍女サンたちが青くなってわたわたしてる。ふん。ここは宮殿の中庭。そよと吹く風が木々を揺らし、土の香りと太陽の香りと相まって、穏やかな時間を演出している。しっかり大地を踏みしめて、腹から叫ぶと気持ちいいなあ。


 「五月蝿い……。」私に抱き付かれているチアキはそう言いながらも私を退けようとはしない。そんな時にくすくす笑いながらセイラン様登場。苦ーい顔したオウランも一緒だ。

 「なんだ、今の。」

 「悪口。」ぽすんと椅子に座る。

 「悪口なのは解るが。『セクハラン』と『インラン』って……そしてなんだ、『むっつり』って。『すけべ』ってのも意味が良くわからん。」

 「――ぼけなす……。」セイラン様が呟きながら、オウランを見てる。あ、なんか、頷いてる。わかるのか?

 「解説は断固拒否します。」

 「せんでいい。」


 はああっとため息をつく。優雅なお茶の時間。芳しい、お茶の香り、そして渋い……って緑茶だし!? 私に未だに抱き付かれているチアキ……。私の目の前には、当たり前のように鎮座する、セイラン、オウランの2人。――はああ……。


 「誘拐犯と、強姦魔とお茶する日がこようとは・・・」


 ああ、やれやれと頭を振りながら呟くと、「んぐっ」とむせた、以外に常識人なオウラン。強姦……と呟き、遠い目をしたセイラン様。

 はあ、すこし黄昏はいってます。だってここ、シェンラン国じゃないんだよ。なんか、寝てる間に移動して、ここは木の国、ハクオウ国。

 どうすんのさ、シェンラン以外から界渡りしたら、それこそどこに出るのか、解らないじゃないか……まぁチアキが居ればいいや。


 「姫の同意なしでは、あんな事はもうしない。」

 「同意するはずないでしょう! 座ってお茶してるじゃないですか。不自由なのは否めないけど。と言うかチアキが許さないわよ!!」

 「んな事は知らん。」


 と私が抱き付きすぎて手が冷たく、痺れて来たようでグーパーしながら言うチアキ。ついでにつんと明後日の方を向いて呟けば、オウランが笑って頷いた。


 「ああ、そういえば、もうポットは飛んでこなくなったな」

 「ん。椅子もな」

 「いつぞやは、テーブルごとだったっけ……」こらそこの二人!しみじみ呟くな!

 「まあ、僕達の状況もわかってくれただろう。あのまま、シェンランにいたら、やがてチヒロはアレクシスを選んでいたはずだよ。僕らを知って欲しかったんだ。」


 ――実に過激な自己紹介ですね。この国の男性はどういう神経してるんだ? チアキだけ、私はチアキ一筋なの!!

 風の国への連絡は、セクハランが態よく取り繕っててくれていました。――私「が」わがまま言って、ハクオウ国に来ちゃった事になってるそうです。

 そんで,あわよくばそのまま、なし崩しに「住み着いちゃった」ことにしようと謀っていたようで……。よく言うよ。多分誰も信じてなかったのは明白ですね。

 って言うかチアキは何でここに居るんだろう? ってわけで聞こう、何で? 「お前が用を足す以外で常に離さないからだ。」そうでした。

 えっと、何か怖くって私そのものが壊れちゃいそうなんだもん……。チアキ以外に頼れる人が……その……。

 ――っと耽っていてはあぶない、あぶない。――その時、鷹揚と王様っぽく佇んでたセクハランが、ふと顔を上げた。

 緑の木々がざわめいて、セクハランの纏う気が変化した。次にインランも、黒いオーラがただ漏れになる。――隠そうよ、そういうの……。あ~、チアキが怖く無いって幸せ。

 風は優しくそよぐけど、私の声は運んでくれない。何もできないのは、この宮殿のどこかに、精霊封じの呪が施されているかららしい。――チアキのアレはなんだったんだろう?


 「――やはり、隠すのはむずかしいね。」

 「ま、そろそろ潮時じゃないかな。風だけじゃなく、火も、水も騒いでいるからね。」じゃりっと土を踏みしめる音がした。

 「蜜月は終わりってことだ。」その場に男の人の声が響いた。赤い髪、赤い瞳の……。

 「シャラ殿がお迎えかい?良くここが解ったね。」オウランが椅子にすわったまま、にこやかにたずねた。

 「んー。解ったって言うか、聞こえたって言うのか……。城に着いた時に、姫の声が、と言うか2人は何をしていたんだ……? インランとセクハラン……。」

 「そのままの意味です。」遠い目で彼方を見つめる。下目蓋がピクピクしてますよシャラ様。

 「君がお迎えってことは、次は、シャザクスか。姫、各国を回って見聞を広め、願わくばまたここへ戻ってくださると、うれしいね。」

 「まだまだ、教えていないことがたくさんあるからな。早く帰って来いよ」最初の印象は最悪なふたり。


 だってそうでしょ、強姦未遂だ。アレからなぜかチアキが居ないと他の男性ですら怖くなっていた……。2人とは関係無い兵士さんにチヒロ特製の辛いお茶(氷入り)をポットごと投げつけてしまったり、いろいろやって迷惑をかけてしまった。

 2人に攻撃した時は普通にザマァみろだけどね。とにかく遠くでさえ姿を見かけると、速攻逃げた。でも、根気良く、謝ってくれて、私の疑問にもちゃんと答えてくれた。

 チアキと一緒に食用になったり、薬になったりする薬草(まぁチアキが言うに大半の毒草が薬に変わるらしい。)。

 うん、後、それぞれの国の力関係を知ってからは、仕方のない事だったのかな、と思えるようにもなったけど、なったけどね!

 ムリヤリはいけない!! 始めては、やっぱり、好きな人とじゃないと!!!


 え? 今の所誰かって? ――そりゃぁ……チアキでしょ?


インランはともかく、セクハラン・・・ないす!

思わず、膝を打ってしまったさくらでした。

マグマ様、ありがとうございました。

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