第十四話:巫女の怒り
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第十四話:巫女の怒り 2011年 02月 26日 (Sat) 00時 29分 53秒
お腹の奥がキリキリと痛む。
思わず痛みに喘ぎそうになるが、胃酸を吐き出すのは何とか堪えた。ハッキリ言ってこんな場面ってゴラ? 胃に穴が開いたぞ!! あーっ痛い、痛いよ!!
「ぬぃぃ……。」
思わず私は呻いた、今までチアキに対しての怒りで幼稚園時代あたりで胃に穴が開いたのが始まりだった。私は苦労人なんだよ!!
――しっかし……私に頭突きをされて悶えてる奴……。
「――な…んで……?」引き締まった、浅く焼けた肌もあらわに、私の近くで悶える男。
「っセイランさま! いや、アホセイラン!!」
さっきも実際に直視はしてとか言わないでね? お姉さんとのお約束だぞ★ さっさと起き上がったセイランは両方の腕を伸ばしてわき腹をゆっくり撫で上げて来る……。
「なぜ、と問う? 姫が、甘露を私に与えたから、かな・・・?」心底わからないと言いたげな顔で、セクハランが言った。
「甘露なんかあげてない!!」ハチミツかかったホットケーキって、甘露じゃないよね?
「ってか解るように話して。って言うか、すぐにやめてー!」
腰を掌が撫でて行く。その、他人の熱に慄きが走る。私の腕を捕らえているのは、緑の蔦。風の精霊や火の精霊の存在は感じられるのに、加護が働かない事実も、私を突き落とす。
「――や。やだ・やだあ……。」私の抵抗むなしく、硬く閉じていた足をゆっくり開かれた。すかさず膝に、足首に蔦が絡む。
「ほう」と感嘆の声が上る。ほう、じゃないわよ!! 見られている事実が打ちのめす。
「この華の蜜はどんな味だろうね。」下ネタ!?
「や_」セイランさまの頭が足の間に、入ろうとした時。
どっかーん!と音がして、扉がぶち壊され、そこに立っていたのは、大魔王もはだしで逃げ出す真っ黒いオーラを漂わせたオウランだったが、なぜか血みどろで死にかけだった。
室内を埋め尽くす緑に、ふんと鼻を鳴らすと、よたよたと緑を踏みつけながらベットに近づいた。目線は、セクハランと、ビシバシだ。
「――兄上。ゴフ……眠…り薬入……りのお……茶をど……うも。」死にかけだ。
「もう少し、静かに入室はできないのか? そしてなぜ血みどろなのだ?」
「――は……は…。性犯…罪者……と後……ろ指……指さ…れるのを…阻止し……てあげた…のに?」
とりあえず、渡りに船と助けを求めてみる。素っ裸なのはこの際、気にしない方向で!
「オ…オウラン、セクハランがヤバイの!!」涙目で訴えると、オウランが、あのオウランが! 赤くなった……。
「――チヒ…ロもチヒロ……だ!何…で……いいよ…うに組み……敷かれ……てるん……だ! しかも、そん……な格好……で…ブッ!!」鼻からも血が吹き出た。
じいーっと、音が聞こえるくらいの真剣さで見るな、馬鹿! って言うか鼻の中も怪我してたのに興奮するから血噴出したの? 慌てて蔦を解こうと身じろぐとようやく我に返ったオウランに止められました。
「動くな馬鹿! 余計見ていたくなるだろ! 妙に、興奮させるな馬鹿!」
――そうか、縛られてる女の子(原作より小さくて悪ぅございました!!)見て興奮する変態君なんだな、このロリコン!! それよりおまえ。しかも、しかも……
「馬鹿って二度も言った!」
「だ……て馬鹿……だろ! 何……簡単に……捕まってんだ!」
「そ……それは私の所為じゃないじゃないか〜!!! 浚うほうが悪い! しかも何!あんたなんか、薬盛られてる上にボコボコじゃないの!!」
我に返る。
そう。
悪いのは・・・。
「「セクハラン!!/セイラン兄上!!」」
「くくくくく。」……当の本人は、肩を震わせ、笑っていた。くそう、様になってる。王様め。
「どうする?オウラン、混ざるか?それでも、私は構わないぞ。――姫の処女は俺が頂くが。」
「チヒロのハジメテは俺のもんだ!」……従兄弟どうしで揉めないでください。
しかも人の処女奪うこと前提で話すなあ! さらに、何気に再開を提案しないでください。私はチアキが好きなの!! ここは、やめましょうよ、潔く。なのに、なのに……。私は怖かった、体全身が冷たく体温を抜かれた感じになり、顔が熱くなる。いや……いや……。
『スタン!!』とても良い何かを斬る音が聞こえた……。
壁が抜け、人影が現れる……キツイ目つき……黒い髪の毛……彼だった……。彼が来てくれた事で顔が熱いくらいに恥ずかしくて、泣きそうになった。違う。泣いていた。
「――。」
「ぢ、ぢあ゛ぎぃぃぃぃぃいいいいい!!!!」私は彼に飛びつく、
「ふぅ。」と、大きく息を吐いて、オウランが口を開く。「泣いてる女を相手にするほど、落ちちゃいませんよ。」
「浚うのには率先して手を貸したのに?」
「当たり前でしょ、あのままだったら、カーシャの口車にうまく乗せられて、アレクシス殿を選ぶのは明白だったから。大体、あの女も優しげな顔で随分強かだからね。――に、しても。兄上、加護が増しましたね?」
「お前が執着する姫の雫は、成る程すごい力だね。わずかな汗で……これだ。」
そういって、蔦に手を伸ばすと、蔦が一瞬その身を震わせてから、伸びた。・・・成長したのだ。茶の瞳を見開き、オウランは頷く。
「――精霊巫女姫の力か……。まあ、僕のほうも、壁を形作るのが、土の気を持つものだったから、吹き飛ばせた。扉は、ついでに吹き飛ばせたけど、まだまだ……。」
「だから、一緒にどうだといっているのに……。」
「これ以上心証悪くしたくないんですよ。あと一年あるんですから、ゆっくり丁寧に落としていきたかったのに……。
それに、チヒロは、今までの巫女とは違う。史実にも稀な初めての太陽と月の巫女、です。今までの巫女と同じ扱いはしないほうが懸命だと思いませんか?兄上。」
「――確かに、史実に残るどんな巫女とも、姫はあわないな。界渡りを果たしたその日、すでに風を身に纏っていたという……。また然したる時間も経たず火の精霊をしたがえ、その身の雫の力は与えし者の力を増幅する。――まこと、得難き姫。」
「精霊の加護は、穢れなき姫君に向けられるものではありませんか?」
「――ふ。そうまでして、この姫を守るか、オウラン。(それよりもマグマはコピペを殆どそのままではないか?)」
「僕は僕の欲しいものに対して貪欲なだけですよ。時がきたら、純潔を奪いにいきます。(今ココで言うものじゃ無い気が……。)」
「――いいだろう。」
そんな殆どコピペの部分が終わり、いつものように生気のチアキが部屋いっぱいに女性の敵であるGブリを見つめるようにしてる……。
「――ウザイ。」チアキが呟く。
「ぁの、チアキ……ありがとう……。ん? ふぇ!? ふぇ!?」私は慌てた。な、なぜなら……。
「何で全裸なのぉぉぉぉおおおおお!? しかも頭にシャンプー残ってるし!!」
「――低脳種族半殺しにしたら汚れた、だから風呂入っていた。その時に下等生物達がお前の救助を要請していた。」
「下等生物?」私は何かと考えた……私の精霊達!? ダイちゃん達ってそんな言われ方だった……。
「――。」
「えっと、ありがとう。」
「――勘違いするなよ? 貴様に義理があるわけじゃ無い、ただ義父さんと義母さんの娘だからだ。」
か、カッコ良い……お、男のツンデレ!? ヤバイ、超カッコイイよ……。にしてもチアキ……裸同士なのに……起きないんだ。いや体は立ち上がってるけどアッチの意味じゃぁ起き上がらない……けど大根。
「くだらん事を考えてるなら殺るぞ?」すいません……。
「姫、ここは、オウランの顔を立てることとする。――許せ。」
私は近くにあった敷布を慌ててベットから引ったくり、チアキとくるまった。
――って許せるか!
「風!」
特大の風の固まりをぶつけてやろうと風の精霊に意識を集中する。――何も、おこらなかった。くすくす、とセクハランが笑う。
「かわいらしい、姫君。風の精霊と火の精霊の力は、あらかじめ封じる呪がこの部屋に施してある。さて、姫の身支度を整えるか? 誰ぞ_」
その時、セクハランの首を薄皮一枚丸々切り裂いた……。セクハランの首の左右に5本ずつ引っかいた後があった。
「――俺を怒らせ無い方がいい。」チアキの言葉で分かった、チアキがやったんだ……。
今までのチアキと違った、いつもと違う……あの夢の中ですらチアキが自分の感情を表に出さなかったのに……たぶん……。
――でも、精霊は?
がくがくする身体でチアキの腰の部分に抱き着き、抱きしめた。そして力を込めて二人を睨み付けた。
――わたしはチアキのものだ。