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第12話:外道な活動

第12話:外道な活動 2011年 02月 03日 (Thu) 19時 44分 38秒




 ――私の夢は、チョコレートの香りのあ~ま~い、あっまーい、太るんじゃないだろうか~。って違う違う、ゴウ ヒ●ミになってどうする!?


 「チアキにあとで作ってもらおう。」


 ポツリと呟くと、耳聡い侍女さんたちが部屋に入ってきた。


 そんでもって、着せ替えタイムのはじ……はじまらない。


 チアキが自分の事は自分でやらせろって言ってたお陰か。


 「おはよう、チヒロ。よく眠れましたか?」


 仕度が終わると、侍女様がいなくなり変わりに王様……アレクシス様が入ってくる。一通り挨拶して朝食会場まで、アレクシス様がエスコートしてくれます。朝食会場、一回いったから場所わかるし、結構ですって言ったら、なんか、毎回部屋が変わるんだって。


 ――王様の気分で。はぁ、元凶はこいつ。後でチアキに言おうかな?


 『ビクッ』アレクシス様が少し震えた。


 右手を取られて、歩く。豪華な扉の前で、アレクシス様がわたしに優しく微笑んだ。


 扉を開ける侍従さん。


 その部屋に鎮座しておりますのは、無駄にきらきらした方たちが、4人。とそのキラキラを萎えさせる黒オーラなチアキ。


 ――そう、誰一人として、自国に帰った人はいなかったんだ。


 あの、オウランですら、黒い笑みを隠しもせず座ってる。けど微妙に怖がってる?


 椅子を引かれ、腰を落とす。その様も、まるで夢の中の王子様仕様。完璧ですね、アレクシス様。


 「アレクシス、チヒロを甘やかすな。」やっぱ怒られてる。

 「じょ、女性に対しての紳士的な行為だろう!?」確かにそんな気もするが……。

 「それはもっと社交的な場合に使われるもの、まだガキのチヒロに使ってるのは……ただポイントでも稼ごうと考えてるとしか思えん。」何か凄い言われよう……。


 「――ギロッ!!」チアキが睨み付ける。

 「ビクッ!!」とアレクシス様とセイラン様。

 「ギクッ!!」とシャラ様。

 「ゾクッ!!」とリシャール様とオウラン。

 

 チアキ怖ぇ……、って言うかもしかして、私に対しての独占欲が_


 「殺ス、殺ス、殺ス、主ニチヒロ。」ギャー!!


 ど、毒とか盛られて無いよね? そういえばこの世界って甘いもの無いのかなぁ? でも、蜂もどきはいたんだ。中庭のお花の蜜を吸ってたの。巣も見つけた。

 ここの世界の人には馴染み無いかもしれないが、蜂蜜は取れるかもしれないと思って、カーシャに頼んでみた。もちろん、さされることを想定して、頭から、足首まで、裾の詰められる厚手の生地の服を用意してもらって、鍔広の帽子の上から、目の細かい網をかぶり、ごつい手袋をつけて。

 煙で蜂を弱らせて、自力で蜂の巣を取_ろうと思ったらチアキが現れて指パッチンしたら蜂が全部花火になりました。チアキの代わりに言おう、汚ぇ花火だ。(byドラゴンボ●ルの外道だったベジ●タ。

 まぁその後、取れたの!! あのとろける黄金色の紛れも無い蜂蜜が!! お城のコックさんも始めての味で悶絶してたわ。

 そして今日、蜂蜜がテーブルにのるのよ。昨日、みっちりコックさんと打ち合わせもしたし、味見もした。食べられるんだ!! 今日は、まともな食事にありつけるはず……!!


 わくわく。そわそわ。まだかな、まだかな、している私を、興味しんしんで見つめる視線があったけど、気にするなわた_『ポフッ』チアキの手が頭に乗っかりました。私は目覚まし時計じゃないよ……。からからとワゴンに乗せられた皿が運び込まれた。


 「これは? 見たことの無い料理だが。」セイラン様が尋ねた。

 「ホットケーキって言うんです。昨日作り方をコックさんに教えてあげたんです。焼き立てに、バターをぬって、蜂蜜かけて食べるんです。」

 「ハチミツってこの間の?」

 「はい。バターらしきものが無いんで、今日はハチミツのみですけど。」どうも久しぶりに食べるのでテンションが上っていたらしい。きゅきゅっとカットした切れ端にたっぷり蜜を絡ませて口に入れた。

 「んん、おいしい……!」身体がしびれる。本当に久しぶりの甘味!!

 「ふふ、本当に美味しそうに食べるな、姫は。」そんなセイランさまの言葉に、私は何も考えてなかった。そう、考えるべきだったんだけど、考えてなかったんだ。美味しいものは、みんなで食べる。そうすれば、もっともっと美味しく感じるから。

 「クネクネ動くな、キモイ。」

 「どぅーもすいやせん。じゃセイランさま、はい、あ〜ん。」きゅきゅっとカットした切れ端に、蜜を絡めて差し出した。しかし、王様は動じなかった。ぱくん。もぐもぐ。ごくん。

 「――ほお、これは……。」

 「ね? ね? おいしいでしょう?」でもチアキはそんなに甘いものは好きじゃな……い? いや、ただ単にいつも食を必要とする本能が無いんだった……。

 「――今まで食べたことの無い味だ。だが、たしかに、美味い。」純粋に好意で行った行為は、後にあだで返されるんだけど、そんなの今は、わかんなかった。

 「あ、そ。じゃあチアキあ~ん♪(はぁと)」

 「自分で食う、俺はカップルじゃ無い。」ひどい……。


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