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乙女への禁句と危険。

「臭い。」

「は?」

「だから臭いぞお前。」


・・・心底この男はあり得ないと思う。



私の城での立場は正直微妙だ。姉の荷物 兼 ザッキンの補佐役。ザッキンの方は、監視も兼ねているのだろうかと最近気付き始めたが。

姉は一応殿下の婚約者(=未来の王妃)だし、ザッキンは雑菌でも殿下の側近だ。周りに居る人の立場が凄いだけで、正直私の立場はただの一般市民。むしろ下町の小娘。色々価値皆無。

姉の私物だし、でも小娘だしで与えられた城での生活場所が侍女さん達が寝泊りする所。その中でちょっとだけ良い部屋が与えられた。・・真面目に働いてる人に申し訳ないのだけれど。

だから色々価値皆無なんだって。本当に無いんだって。微塵も無いんだってば。

・・・特に政治的価値だなんて。

「はぁあ? シェイちゃんを利用しようとする、もしくは狙っている奴等が居るですって!?」

ああとばっちり。これ以上のとばっちりがあるだろうか。

「みたいだね。そう取って間違いないんじゃないかな。リーテは未来の王妃、だから。アカシェちゃんを使ってリーテに接触、あわよくば俺に。もしくはリーテの弱味になると踏んで、アカシェちゃんを囲んで脅してあわよくば俺にまで。そのどちらかじゃないかな。」

つまりあっれー? 良いパイプ役になりそうじゃね? って事ですか。あれか。お前には興味無えんだよ。そのバックに用があんだよ、ってか。

・・・何だろうこの小物感。値踏みされて激安セールに売られた感じ。あれ。ちょっと違うか。

「でも何でお姉ちゃんの弱味握る必要があるんですか? っていうか正直私弱味になります?」

「なるだろうな。唯一の身内なら使えると考えたんじゃないか。」

あれ居たんだザッキン。でも、

「誰が?」

「ラウディ殿王妃反対派が。」

・・・・・・・・・・。

ええええええええええええ。

「聞いてない! 聞いてないよ何それそんなん居るの!?」

「今更ねシェイちゃん。城へ来てもうすぐ一ヶ月になるわよ? 見てりゃ分かるでしょう。」

いやいやいや。分かりません。ってか考えてませんでしたその辺のドロドロどうでも良かったんで。

でもよく考えて、客観的に見ればそうだよな。私だって使者さんが家に来たとき一瞬そう思ったもんな。普通の街娘の一般市民がいいの? って。

そういえばあの殴られた使者さんは頬大丈夫だったんだろうか。

「主に意見は二つあってな。ちゃんとしたどっかの国の姫さんを無理やりにでも娶って王妃にしよう派と、もうここまで来りゃあ誰でも良いから殿下に結婚して貰おう派。」

・・・普通は前者なのではないだろうか。あ。でも殿下女性フり続けたんだっけ。そこまで躍起になる人が出てくる程。

「そうそう。で、後者の奴等が先手必勝って言って半ば押し切ってリーテの所に行ったんだよね。」

「まあそうですの。聞く限りその方々の方が阿呆だとは思いますが、ラヴェンツと出会えたのは感謝しなければいけませんね。」

「同意。だから俺は後者に味方。」

・・・あれ。ピンクの雰囲気が。

ザッキン辛くないのかなと顔を見たらもの凄く呆れた目で見てた。あれ。そこはショック受けても我慢して、っていう・・・・・・

でも身内のいちゃいちゃは意外と堪えるな。物凄く出て行きたい。そして見なかった事にしたい。超絶美形と美形だから、中々絵にはなるんだが。

「・・・で、あの。お二人さん。話の続き。」

何があったかもう知りたくもないが、こいつ等日に日に仲良くなってやがる。

「あら、そうだったわ。で? ラークス、シェイちゃんが狙われてる(もう決定)っていうのは、どうして分かったの?」

「臭かったんで。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」


何度聞いてもあり得ない。だからもっと表現を和らげて。和らげてもこいつは女性にモテないだろうが。

「は?」

「・・・はい?」

「徐々に鼻が慣らされて、本人は気付かないのですが相手をある程度いい様に操る時に使う、催眠の効果を持つ特殊な香水の香りがしたので。」

ほら最初からそう言えこの馬鹿め。

「・・・まあ、虫けらの癖に鼻だけは犬並みだったのね。」

「へえ、そうだったの。それ殆ど無臭に近いのによく気付いたね。まるで犬みたいだね。」

褒めてる褒めてる。これでも褒めてる。殿下、最後のは無意識か。

「その香水を使ってあったのは部屋からです。臭いの元は取り除きました。」

臭いって言ったか? 臭いって。漢字変換が見えたぞ。匂いと言えよせめてそれを体に纏わせてた本人の前だけでも。

「うーん。アカシェちゃんと接触したいのかな。城下に帰しても、ねえ・・・」

「嫌よ。」

「今更一人で生きていけと言うのですかこんなか弱い娘に殿下。」

「いや、帰るのなら一応お金は渡すんだけどね。侍女塔に居てもわざわざ仕掛けられるなら何だかんだで帰っても利用されるんじゃないかな。」

「・・・・えええ。」

「だからもう少しいい部屋へ移ってみようか。そしたらその部屋に仕掛けられる人も限られてくるしね。」

やっほーいっ! いい部屋いい部屋!

あれでもそれって政治的価値が多少なりともあるって宣言してるようなものじゃ








「で、殿下・・・?」

「頑張ってね、アカシェちゃん。リーテと俺の為に。」








無理しなくていいのよ、そう言った姉の声が遠くで聞こえました。




殿下基本他人興味ありませんが、大事な人との事になると手段選びません。

色々と。

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