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恋により獣化注意。

姉は恋をしてから殿下を追っかけまわす様になった。

正直見ていて面白い。むしろ噴出す。顔を赤らめ乙女の表情をしながらも目は完全に肉食獣の姉と、顔色を悪くしながら真剣に全力で走る殿下。殿下は毎回上手く撒いて隠れているようだけれど、姉の恋する乙女レーダーの方が一歩上手だ。地下だろうと屋根の上だろうと見つけ出す。

私は殿下の立場にだけは成りたくないと願う。

「ラヴェンツ様あああああああっ! 待ってくださいいいいい!!」

「―――――――――!!!」

ああ叫んでる叫んでる。私は姉の恋を応援しているから、どんなに殿下が哀れであろうと助けることは出来ない。うーん。でもあの恐ろしい間に入れる人などいるのだろうか。

そう思って、城の屋根から降りかけた時だった。

「ラウディ殿。その辺でやめてあげて下さい。殿下はこの後も執務が溜まっています。こちらとしては迷惑です。」

・・・何だあの藍髪。

姉は殿下に影響することで責められると全く言い返せない上に涙目になる。殿下に関して言われると弱いのだ、天下の口女王も。

「だ、だから私が作ったりんごのスープを差し上げようと・・・」

私は姉が昨日、厨房を借りてまで何かを作ってたことは知っている。知って、嬉しくなったのだ。殿下が喜んで飲んでくれればいいとまで願う程(この私が)。りんごのスープは、私たち姉妹二人のうちどちらかが具合が悪くなったり、疲れが溜まっていたりするともう片方が作ってあげるものだ。良くなるように、頑張ってね、と思いながら。

「りんごのスープ? 毒が入ってるか分からぬものを、殿下に飲ませられる訳が無いでしょう。」

「入ってませんわ! ただ、疲れが取れるようにと・・・」

「それならば心配は無用です。厨房が作ってますので。むしろ、少ない休憩時間にこう追いかけられる方が疲れるのでは?」

「おい、ラークス・・・」

益々涙目になる姉。・・・姉が泣くのが、どれ程のことか全く分からない癖に!

あの藍髪は更にため息をついたのだ!




何だあいつふざけるな感じ悪い上に性格まで悪いのか!!!




で。我に返った時は。


―――――――――飛び降りてた。藍髪の、



頭上に。





「っ!!?」

「ひいいいいいいいいいいっ!!!!」

――――――――――――――――ドンッ!

「シェイちゃん!?」

「ラークス!」

い、痛い。予想以上に痛かった。あれでも上の私でこれだけ痛いってことは・・・下はもっと痛いのか。・・・ま、いっか。

「っ、何だお前!」

「はっ、そっちこそ何な訳? さっきから聞いてりゃぐちぐちよくもまぁあんだけ喋れたものね! 恋愛は本人同士の問題なんだから、アンタ一人の判断で片付けないでくれる!? 私の姉が恋する相手に毒を入れるなど・・・侮辱した罰よざまぁ見ろ!」

言った! 言ってやったああすっきり! 姉が横で珍しく感動してる。

「ぐちぐち喋ってんのはお前だろうが! この糞女の妹は人の頭の上に飛び込んでくる程常識の無いそれ以上の糞女のようだな!」

「自分の価値を理解してから人を判断してくれない!? あんたなんかその糞以下だってこと、分からないの!?」

「その狂った判断基準を治してから出直してこい! 大体、どけ! お前女のくせに随分重いな!」

「あーら。女性を重いと言うだなんて、ジェントルマンとやらからは程遠いようね! あんたこそ城に仕えてる人間らしいけど、ド汚い言葉遣いで良いのかしら?」

「お前のような奴を女性と認識する必要はない! よく自分のことを言えたもんだな!」

「ふん、あんたなんかまず人間から除外よ!」

「・・・ま、まあまあ。二人とも落ち着いて。喧嘩する程仲が良い、ってのはよく分かったから。」

「「  よく ない!!  」」

ハモった。ああ、腹が立つ!

「お姉ちゃん! この礼儀というものがそのまま欠陥している失礼人間は、一体何なの!?」

「ラヴェンツさまの側近の一人、ラークス殿よ。」


側近

そっきん

ソッキン







あれ。私、体当たりして良かったの?


  

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