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一目惚れなんだって。

リアテーナの愛称がリーテなのですが、

未だにここでしか出せてない。

「お姉ちゃん」

「なあにシェイちゃん。」

「人一杯居るね。」

「そうね。」

つまり。物凄く視線を感じます。次元が違う美形なる姉に。そして。

・・・ミノムシ状態の私に。

まあいいよ。もういいから。ここまで来たんだからいっそ貫き通してやるわ。何で誰も助けてくれない上にスルーしようとすんだよ。意味が分からない。頼むからさっさと中の縄解いて。

さっきまでは広いホールの様な所に居た。姿は見えなかったけど(転がされてたから)国王との挨拶が終わったらしい。よく考えれば権力者の前ですごい失礼だったのではないだろうか私。そもそもきちんと人として認識されていたかも危うい。空気として扱われていたから。あれ、涙が。

廊下を歩く侍女さんや役人さん(多分)は皆、男女問わず姉を見てから顔を赤らめ目を逸らし、その手に抱えられている私を見て何か見てはいけない物体Xを見てしまったとでも言うようにまた目を逸らす。

一度目と二度目では大分意味が違う気がするのだが気にしないでおこう。

気にしたら私の中の何かが崩れる。確実に崩れる。


ゆらゆらと抱えられている振動に眠気を誘われていると、ガクンと衝撃が来た。

「い・・・・・・っ、たっ・・・!」

ちょ、おいおいおいおい。人の腰の高さから落とされたら全身を打つんですけど。

お姉ちゃん。妹が怪我するよいいのか。

「素敵・・・・・・!」

「はい?」

訳が分からず上を見上げると姉が見たことのない表情をしていた。

頬を染め、目は潤い、瞳が輝いている。えーとつまりは。

目がハートです、お姉ちゃん。

って。

ええええええええええええええええ!!!!?

瞳の先には好青年。姉で目が肥えた私でも美形だと認識出来る。これはすごいことだ!

明らかにいい服を着た姉より少し年上の雰囲気を持った金色の髪を持つ青年。

書類を誰かに説明している様だ。

「お、お姉ちゃん・・・?」

「シェイちゃん。お姉ちゃんは、恋をしました。」

うっそだーーーーーぁ。

「お姉ちゃん、覚えてる? お姉ちゃんは今日今さっきこの国の殿下と婚約したんだよ? 頭大丈夫? 前々から思ってたけどお姉ちゃんは色々治した方が良いと思うの。」 

「ええ勿論覚えてるわよ。だって私は完璧だものね? 大丈夫。今なら取り消せる気がする。だってほら、国王さまが色々教えてくれたじゃない。殿下は私など眼中に無いので、希望すればやめれますよって。お互いが望んでないのよ、ね?」

いやいや。国王と姉の会話なんか知りません。だって転がってたから。

んな簡単にいく訳が無いでしょう。

「無理だって。大体、あの人が誰かさえも分かってないじゃない。」

「あらそんなの簡単よ馬鹿ねシェイちゃん。直接聞けばいいんだわ。」

いやだからアンタ殿下の婚約者なんだって。

まずいこれはさすがにまずいだろう。

ズカズカと歩み寄る姉を全力で阻止する内に、会話が聞こえる距離まで来た。いいのこれ? 盗聴? 盗み聞き?


「――――――では、――地方の――――。」

「ああ――――した場合のみ――――――。」

「―――――――――分かりました、殿下。」


―――――――ん?

「・・・・・・お姉ちゃん、今あの人殿下って呼ばれたような・・・」

「・・・殿下って、この国に一人よね?」




「・・・あの人、お姉ちゃんの婚約者じゃん。」


「・・・。」

「・・・。」

「やったわっ!!!」

「わーおめでとー(棒読み)。でも確か殿下ってお姉ちゃんなんか眼中に無いんじゃなかったっけ?」

・・・・・・あ。


「いいいいいのよっ! これから、これから仲良く親しくなるんだからぁあーっ!」

すごい。姉の涙目を初めて見た。

走り去る後姿も美しい。




私の一言が姉にかなりの致命傷を与えていたのだと知るのは、後のこと。

・・・なんかごめん。




取りあえず。

姉が恋をしました。

鬼の目にも涙。


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