閑話 お店
25話で一章とまではいかないけど
何となく区切りがついたので、閑話。
姉妹二人で経営する小さな飲食店。
その生活をしていた頃(まさか姉が玉の輿になるとは思わなかったので)、役割は料理と接客、二つある為その役割は交代でこなしていた。
男性客が多い店で、接客当番が妹の日。
彼女はまさにどっかの国のヘイカが見たら気絶するような、
そんな人当たりの良い笑みを浮かべて接客していた。
◇
「いらっしゃいませー。」
聞こえた声が金髪の持ち主ではない事に気付いて入ってきた客は舌打ちした。
案の定、メニューを持って来た女は茶髪だった。
ああ、しっかりと今日はどちらが接客か確認しなかった俺が悪いさ。
それは分かるがイライラする。
なんせ、ここにはあの美貌を見るために来ている様なものだからな。
来た意味が無いのでさっさと帰れるよう、適当な飲み物のみを注文した。
少し経ってからやはり茶髪の女が手にコップを持ってやってくる。
「お待たせいたしました。」
一定の笑顔で言われ、何だかそれが無性に腹が立ったので、悪戯をする事にした。
「姉ちゃんの方を毎日接客にした方が売り上げも上がるんじゃねーのか。」
「はい?」
僅かに首を傾げた茶髪女の笑顔はそれでも崩れず、続ける事にする。
「君の接客の日は、姉ちゃんの時より売り上げが下回るだろ。」
「・・・・。」
図星なのか何なのか、相手が黙ったのをいい事に更にイライラをぶつけた。
「いやあ、俺も残念だよ。折角足を運んだのに今日の接客はハズレの方だったからな。」
少しばかりすっきりしたので、口元に笑顔を浮かべて頼んだ飲み物を飲んだ。
ひやりと冷えている。
黙っていた女は、やはり一定の笑顔を浮かべて言葉を発した。
「うふふふ。お客様ったら、お生憎、今日は私なんですよ~。
明日も来て下さったら姉ですけどね?
この制度は店で決めた事ですので、私の接客でご不満がありますようなら、テール街にでも足を運ばれたらどうですか~。」
訳=
悪かったな私で
文句言う位ならその「姉ちゃん」が当番の日の明日も絶対来いよ
っていうか接客する女に個人的趣味として場違いのケチつけたいならテール街(大人の男性方が主に通う、娯楽街。大人な街です)にでも行けよバーカ
「・・・・・。」
厨房の方からもどうしてか殺気を感じたので、俺は半分も飲んでいないそれを残して店を後にした。
八つ当たりは、良くないな、やっぱり。
その後何故か町で俺は若い女子たちに「エロ親父」と蔑んだ目で見られた。
◇
そんなある日のお話。