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嘘吐きは泥棒の始まり。

陛下性格悪い・・。


9話位まで登場人物や周りの状況の紹介の意味があったので、物語が進むのは書いてて楽しいです。

「嘘言うな!」

真っ先に怒鳴ったのはヘイカ(「陛下」だと阿呆が権力者だと認めているようで癪なのでこうしておく。)だった。

「【ラウディの生き残り】が二人居るなどと、私は聞いていない! 本当の家名を言え!」

「無茶言うなよ! 自分が知ることが全てだとでも思って自惚れていたのか!? 私は歴としたお姉ちゃんの妹だ! 自分の無知を他人にぶつけないでくれる!?」

「何だと!? お前、私が誰だと思ってるんだ!」

「こういう場面で無駄に権力振り回す程愚かな奴は居ないわよね!」

「~~~~っ、捕らえるぞ!」

「もう捕らえられてるわボケ!」

話がずれてきた気がするがまあいい。口喧嘩には勝ったのですっきりだ。

ゼェハァと肩で息をしていたら、ぼふりと頭を胸に寄せられた。後ろに傾く形と成る。

「落ち着け、リーテ・・・って、実際は違うのか。陛下も落ち着いて下さい。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・・・・ああ。」

睨む睨む。もうヤダ。こいつは完全に敵と認識。容赦なくいってやる。

「で? 「リーテ」、お前の本名は「アカシェ」なんだな?」

「そうよ。」

「じゃあ俺が連れてきたのはノウェル国次期王妃ではなくその妹だと。」

「そうよ。」

「・・・・・・・・・どうします、陛下。」

「その子豚が言っている事が本当なら、子豚一人で十分だ。ラウディ家の娘なのだろう。」

「ねぇだからラウディだとどうなる訳!?」

さっきから人の家名をやたらと連発しやがって。説明しなさいよ説明。気味が悪い。姉を連れ去る必要はないと私一人で十分だと判断してくれたのなら大助かりだ。姉の今の立場で連れ去られる訳にはいかない。尤も、そう上手くいくとは限らないけれど。

「教えて下さいと、私に跪くのなら考えてやらんこともないが?」

・・・・・・。

・・・嘘だ。嘘を吐くのはどっちだ。絶対教えないパターンだろう。何て性格が悪いんだ。

「ふん。どちらにせよラウディ家の娘なら構わない。元から用意してあった部屋へ入れておけ。」

ネアに引きずられながら私はその場を後にするのだ。

「豚を馬鹿にする者は豚に泣くわよ!」

美味しいんだから。





「ネア。」

「なんだ。」

「・・・・・・何この部屋。」

キラキラして目が痛い。豪華だ。そして馬鹿みたいに広い。姉の城での部屋とそう変わらないのではないだろうか。・・・今ではもっと良い部屋に移っているだろうけど。

「発音を正確に出来るのだから、お前が絶世の美女とやらの妹には変わりないんだろう。嘘は言っていないと判断した。元から用意してあった部屋だ。」

「じゃあ何だったのあの拘束生活は。」

「・・・いや、その、」

「何よ?」

「陛下が、「絶世の美女」とは程遠いから念のため調べる、だからあの部屋に捕らえておけと。・・・」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

確かに私はじいちゃん似だが。姉との共通点は瞳の色と口の悪さ位だが。

「・・・毒を盛ってきても良いだろうか・・・」

「一応言うが駄目だぞ。」

親しくなった人達に遠慮がちに言われたり、影でひっそりとネタにされていた事はあるけども。周知の事実でもあったし。それでもやはり初対面の人間にそう堂々と判断されると殺意も沸くものだ。では服にでも毒針を仕込んでおこう。

ふと頭に手を置かれるのを感じた。上を見上げるとネアが無表情ではなく、ゆったりと微笑んでいた。

・・・っ、だ か ら ! 普段無表情なのにどうしてこういう時だけ微笑む!? 笑う!? 意味が分からない! 絶対にこいつは狙ってやっているに違いない! 確信犯だ! 畜生紅くなるな私の頬!

成ったら負け成ったら負けとよく意味の分からない呪文を唱え、落ち着かせた後熱を振り切るように顔をぶんぶんと横に振った。

・・・よしOK。通常モードオン。

「・・・、ネア。私の事子供扱いしてるでしょう。」

「は? 何を言ってる、子供に子供扱いするのは当然だ。」

「・・・ネアは私を何歳だと思ってるの?」

「じゅう・・・5か6か?」

「・・・・・・。」

ひ、酷い・・・! これは酷い! 体型的には確かに凹凸は少ないかもしれないけれどそれは無いだろう!

「18!」

「・・・は!?」

「じゅ、う、は、ち! だから! 18歳なの!」

「・・・俺と2歳差? なのか?」

20なんだねネア。案外近いな年の差。もっと老けて見えてた。声には出さず心でひっそりと謝る。うん。すまんネア。幼く見てしまった事に気まずく感じたのか分からないけれど、ネアは帰るとUターンした。分かり易いぞ。

「じゃあ、


また来るぞアカシェ。」


返事も待たずに閉じた扉に思わずズルリと凭れかかった。・・・あれ何だこれ。

やっと呼ばれた姉の名ではない本名に胸の中が何故か暖かくなり、疼く。(さっきも呼ばれたけれど、意味が違うだろう。)

見えた背中に手を伸ばしたいと・・・、ん? いやいやいやいや。待て待てアカシェ。何を考えてるんだ変態か! 確かに鍛えていて良い背中だったけどね!
















まぁいいやと思考をそこで打ち切って、豪華な布団に身を沈めた。






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