賽を投げるタイミングを教えてくれ。 前編
「へ? お姉ちゃんと殿下が正式に婚約発表?」
「そうらしいです。明日、正式に発表なさるようで。」
フィノルが読書タイムに思い出したように言った。いえ、聞いてませんって。
「えええー。何で二人とも私に直接教えてくれないのかなぁ? 何これいじめ?」
「あ、いえ。昨日の晩に決まったそうで。今朝アカシェ様の部屋に来る前に殿下直々に教えておいてくれと頼まれましたよ。」
「成る程。・・・・・・・・・・・・今朝?」
「はい、今朝です。」
・・・今昼ですよー、フィノルちゃん。基本抜け目無いのに肝心な所だけたまに忘れる天使。
いいよもう可愛いから。あああ、上目遣いでこっち見ないで! 可愛いな本当に私の天使!(決定)
「うーん。じゃあ、今おめでとうって言ってこようかな。フィノルも行く?」
「あ、いえ! 駄目です、アカシェ様。殿下とリアテーナ様の場合は婚約を決められたのが昨晩だったので少々例外となりますが、基本身分の高い方は婚約発表までの三日間人に会わないのがしきたりです!」
ええええええええええ。なんじゃそら! なんだその面倒な! 今まで身分というものに無縁だったからそういうの全然知らないんですけど!
「えええ。じゃあ、朝フィノルが殿下直々にどうのこうのっていうのは?」
「はい、正確には扉越しに手紙で教えて頂きました。」
ああ成る程。不便っぽいですね殿下。あと姉が大人しく部屋に閉じこもる柄では無い様な気もするが考えるのはやめておこう。きっと城の人達が何とかしてくれるだろうから。
「そっか。それにしてもやっと? っていうのかな。あのラブラブっぷりからしたら即行で婚約発表とかしそうだと思ってたんだけど。一ヶ月半持ったな。」
「お二人とも大変目麗しいので、とても絵になりますよね!」
おお。フィノル、頬上気してますよ。私の血圧に悪いからやめ・・・いやもう少し見ておこう。
「まあ、腹立つ位に美形だからねえ。」
「私も殿下とリアテーナ様の様な仲、憧れます・・・」
・・・・・・・。ん?
「いやいやいや。え? フィノル、恋人とか居る訳じゃないよね?」
「え? ・・・あ。い、います、よ・・・」
居ます。います。イマス。imasu。・・・イエス?
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だぁれ?」
滅多に無く、本気でキれた時にしか出さない程の低い声が出ていたのは無意識だ。仕方あるまい。
「え、あ、あの。・・・ラ、ラークス様です!」
呂律が回ってないフィノルも可愛いね(もう変態の域)。ラークスって誰だっけ。てかそんな人居たか? ラークス? なんだそのスーパーみたいな名前。フィノルはこんなにも愛らしいのに名前すらもショボイのかふふふふふ。どうやって始末しよう。雑巾のごとく扱って・・・雑巾・・・雑巾・・・雑菌(側近)・・・・・・
・・・ザッキンと天使なるフィノルがこ い な か ?
目は完全に据わり扉のほうを見つめ怪しげに笑う私に、何か気付いたらしいフィノルが慌てた。
「だだだだ駄目ですよアカシェ様! 変なこと考えないで下さい!」
「変なこと? いやだな可愛いねフィノル(本音)。ちょっと始末するだけだよ?」
「よ、余計駄目ですよ! ラークス様が居なくなったら私耐えられませんし、アカシェ様もラークス様はお強いのでお怪我でもされたら大変です!」
上目遣い + 涙目 = 相乗効果 1.5倍比
「・・・そうだね! じゃあフィノルが悲しむならやめとこっか!」(笑顔)
結論→解決。
(少しシェイの扱いを学んだフィノル)
ザッキンの恋人なら信用できる、という意味だったこと。
ザッキンの補佐役が無くなったのは代わりにフィノルが監視者 兼 侍女(あと護衛)として就いたからだということ。
・・・世の中知らない方が幸せな事が多いです。
―――――――――――――――――あと、姉が(半分)嫁にいきます。
身分の高い婚約しきたり云々は完全に作者の妄想です。
結婚式の場合はありそう・・・? とか思いましたが、実際に調べてないので知りません。無知ですみません。
そこら辺は話に都合のいい様に設定してあるので、多少の無茶はお気になさらず。
あとフィノルの敬語が慣れてない。
シェイとは多少くだけた設定なのですが、どうなんだフィノルの言葉?
まあいいや。
何か間違いでもあれば教えて下さい~~
それと。
主人公は変態じゃありません。断じてと言えませんが一応違います。(のはず)
裏話・・・というか作者の気分話。
最初はラークスとアカシェをくっ付けるつもりで出したのですが、ヘタレだったのでやめました(酷い)。フィノルとばっちりすまん。