表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

第9話 それでも、信じる

第 9 話 それでも、信じる


「……状況は」

橘さんが重たく口を開いた。

「影楼、黒影による拉致」

迷いなく、ハッキリと答える

こんな状況なのに冷静に答えられた。

だが、幹部たちの視線が俺に突き刺さる。

連盟切っての精鋭2人が何をしている。と目で訴えてくる。


「踏み込む」

蒼真だ。

「力を貸してほしい」

幹部達の視線など諸共せず、真っ直ぐ言葉を放つ。

幹部達がザワつく。


その時――


コツ……

天音さんだ。

いつもの柔らかな雰囲気は一切ない。

だが、怒りでもない。

静かな圧を感じる。

ザワ突き出した幹部達もピタっと静まる。


「場所は」

発したのはその一言 。

連盟の監察部隊も影楼のアジトの特定には至っておらず誰も答えられない 。

蒼真の「踏み込む」という発言も無謀と取られても無理はない。

天音さんは目を閉じた。

わずかな沈黙 。

「……見えた」

ただ、それだけ。


「行くぞ」

天音さんのひと言で幹部全員が立ち上がった。

異論を唱える者などいない。

天音さんの「行くぞ」は命令ではなく

“確定事項” だ。



天音さんのひと言。

「行くぞ」

それは全部隊を動かすという意味を持つ。


あと少し。

あと1秒早ければ俺が間に合ったはずだ。

敵を深追いした詰めだ。

蒼真に責任を乗せる形になってしまった。

何故、俺は動かなかった。





届いたはずだった。

あと1歩。

あと一瞬。

なんでだ。

守るって言ったのに。


幹部連中に「踏み込む」と啖呵を切ったが、馬鹿な事を言うな。と言う目をしている。

俺じゃダメなのか…..。

蓮、なんでお前はそんなに冷静なんだ。

別に俺の責任でも、お前の責任でもねぇ。

2人の責任だ。

どちらかの手が届くと信じてた。

でも、それじゃ足りなかった。

それだけだろ。

お前一人で背負うみたいな顔すんな。


天音の「行くぞ」のひと言で幹部達が立ち上がった。


助ける。

必ず。







—目を覚ますと、そこは光の届かない暗い部屋。

暗くて何も見えない。


「起きたか」

暗闇に響く低い声。

「お前は力を持っている」

「その力は全てを壊す力だ」

…壊す力?

何の話なのか、私は特別な力なんて持っていない普通の女の子なのに…。

「まだ、覚醒前か」

「ならば、目を覚まさせるだけだ」

何をされるのだろう…。

怖い。

暗闇のせいで死の恐怖とは違う恐怖が押し寄せてくる。

逃げたい。

手足を動かそうとするとガチャガチャと音がし、動かす事が出来ない。

私は拘束されているようだ。

「なんで、私なの…」

振り絞って声を出した。

少しの沈黙の後…暗闇の声は言った。

「理由はお前自身の中にある」

私の中?

「そこで見ているといい。守るなどと戯言ばかりの脆弱な奴らを」

それって、蒼真と蓮の事?

違う…あの2人は…。

「違う。蒼真と蓮は弱くなんかない。私は信じるの」

「何を信じる?」

嘲笑うかの様な話し方。

私は身体が震えている。


怖い。でも---

それでも、信じる。


「理由なんていらないの、信じる。ただ、それだけ」

真っ直ぐに前を向いてそう言うと

「面白い」

と低い声の主の気配はどこかへ消えていった。



—暗闇の中に一筋の光が差し込んだ瞬間。

暖かな光が陽葵の中に芽生えた、その光は確かにそこにあった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ