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第45話 欠陥の露見

砂塵の中で黄金の光が明滅する。ジークはあえて無防備に立ち、歪んだ笑みを浮かべるパラガスを見据えた。


「……何がおかしい」


パラガスが、震える声で絞り出す。


「いや、あんたの必殺技っていうのが、案外たいしたことないと思ってな。少しばかり速いだけじゃないか。動きが雑なんだよ」


ジークの言葉に、パラガスのこめかみが激しく脈打つ。


「何だと……?」


「全部見えてるぞ、あんたの動き。自分をそんなに強く見せたがるのって、ある意味才能だよ。すごいね、必死さが伝わってくる」


ジークは突き放すように、淡々と言葉を重ねた。戦場で強敵を相手にする際、あえて相手を煽り、思考を狭めるのは生存のための常套手段だった。


「貴様ぁぁぁ! この俺を、愚弄するかぁぁ!」


パラガスの怒りが沸点を超えた。能力による超加速が、彼のストレスと連動してさらに跳ね上がる。光の筋となったパラガスが、一直線にジークへと肉薄した。


ジークは衝突の直前、一歩だけ左に身をかわす。そして、右手に握っていた短剣を、パラガスの通過経路に置くように差し出した。


鋭い金属音が響き、ジークの腕に凄まじい衝撃が走る。パラガスの体が短剣の側面に接触した瞬間、短剣はジークの手を離れ、目にも止まらぬ速さで森の奥へと消え去った。


衝撃で痺れる腕を抑えながら、ジークは確信を得た。


(……やはりな。自分と、自分の触れたものの速度を上げることはできる。だが、思考の速さまで追いついていない。おまけに、この速度だとまっすぐにしか向かってこられない。方向転換ができない欠陥品だ)


武器を失ったジークに対し、パラガスは勢い余って広場の噴水を粉砕し、瓦礫の山に突っ込んでいた。


「ハァ……ハァ……! 死ね! 次こそは跡形もなく消し飛ばしてやる!」


パラガスが再び体勢を立て直し、最大速度へ達するための予備動作に入る。武器もなく遮蔽物の少ない広場では、次の一撃を凌ぐのは困難だった。


「よし、逃げるわ!じゃああなぁ!」


ジークは叫ぶと同時に、広場に面した民家の中へと飛び込んだ。


「貴様ぁぁぁぁぁ!!逃げるな卑怯者!!逃げるな!!」


パラガスの怒号が背後で爆ぜる。

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