表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/30

第23話 守られる理由

セラフィナは、自分を取り囲む温かな空気の中に立ち尽くし、激しく混乱していた。

ずっと恐れていたことが起きたのだ。自分が、人智を超えた暴力的なまでの力を持っていることを、村の皆に知られてしまった。


(怖がられると思っていた。化け物だと言われて、居場所を失う覚悟はできていたのに)


だが、目の前の光景は、彼女の想定とは真逆のものだった。

拒絶されるどころか、村人たちとの距離は以前よりも近くなっている。


「セラお姉ちゃん、さっきの凄かった! 強いお姉ちゃんの方が、かっこよくて大好き!」


一人の子供が無邪気に笑いながら、セラフィナの服の裾を引っ張った。

彼女にとって、それはあまりにも想定外すぎる反応だった。

化け物の力だと思っていたものは、村の子供たちにとっては「かっこいい憧れ」でしかなかったのだ。


立ち往生する彼女の隣に、ジークがようやく歩み寄った。

気の利いた慰めも、格好いい台詞も思いつかない。

だから、彼は自分でも驚くほど不器用に、ぶっきらぼうに告げた。


「……これからは、半分くらい俺にやらせろ」


その言葉に、セラフィナは弾かれたようにジークを振り返った。

そして、一秒の迷いもなく即答した。


「無理です」


「……え?」


「あなた、すぐ無茶をするので。見ていてハラハラします」


「……おい」


「それに、戦場帰りの割に判断が甘いです。あそこで左肩を貸す必要はありませんでした。あと、剣筋が直線的すぎます」


急に辛辣な言葉が矢継ぎ早に飛んでくる。

だが、その毒舌のキレの良さこそが、数日間失われていた「元の距離感」が戻り始めている証拠だった。

ジークは呆気にとられ、それから堪えきれずに吹き出した。


「……ははっ、手厳しいな」


「本当のことですから」


「……じゃあ、俺がその弱点を直すまで、稽古に付き合え」


今までの二人の関係は、圧倒的な力を持つ守護者と、その庇護を受ける側でしかなかった。

だが、今この瞬間、その形は明確に変わった。

どちらかが一方を守るのではなく、背中を預け合い、共に高め合うための「共闘関係」への移行。


「……高くつきますよ、私の指導は」


少しだけ、いつもの意地悪そうな笑みを浮かべてセラフィナが言った。

ジークはその微笑みに、本当の意味での「おかえり」を告げられたような気がしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ