第2話 七年目の帰郷
あれから、本当に色々なことがあった。
俺たちが戦場へ送られた直後、世界は一変した。
異界の門が開き、見たこともない「魔族」という脅威がこの地に降り立ったのだ。
王国は焦り、禁忌の術式に手を染めた。
兵士たちの魂を削り、強制的に力を引き出す「レベリングシステム」。
俺はその被験者にされた結果、レベルが1で完全にロックされ、成長の機会を永遠に失った。
それからは地獄だった。
役立たずと罵られ、捨て駒として各地を転転とさせられる日々。
その間に、選ばれた勇者たちが魔王を討伐し、戦争は一応の終結を迎えた。
そこから復興に数年。
さらに各地に残った魔族の残兵狩りに駆り出され、気づけば村を出てから七年の歳月が流れていた。
十歳だった俺は、もう十七歳になっていた。
ボロボロになった装備と、支給されたわずかな退職金。
それだけを握りしめ、俺は命からがら故郷の村へと続く坂道を登っていた。
村は、焼かれてはいなかった。
あの役人が言っていた見せしめの話は、徴兵をスムーズに進めるための嘘だったのか。
あるいは、誰かが守ったのか。
「……やっと、帰ってこれた」
懐かしい土の匂い。
遠くに見える、かつて暮らした修道院の屋根。
村は静まり返っていたが、確かにそこには俺の知っている故郷の面影があった。
だが、安堵した俺の脳裏に、ふとある不安がよぎった。
この村には、この辺境ならではの「当たり前」の決まりがあったからだ。
俺は重い足取りを村の入り口へと進めながら、七年前の彼女の姿を思い出していた。




