第14話 守護竜のささやき
作業が一段落し、村人たちが庭のあちこちで腰を下ろして休憩し始めた時のことだ。
ジークは、少し離れた場所で汗を拭っていたセラフィナの隣へと歩み寄った。
ずっと胸の中に詰まっていた、どうしても確かめなければならないこと。いざ本人を前にすると言葉がうまくまとまらなかったが、彼は意を決して口を開いた。
「……なあ、セラフィナ。お前って、その……あのドラゴン、だったのか?」
あまり言語化できずに、語尾を濁らせるようにして聞いた。
するとセラフィナは驚いた様子も見せず、すっと人差し指を自分の唇に当てた。
「しーっ。ジーク、あまり大きな声で言わないで」
彼女は周囲で休んでいる村人たちを気にしながら、ジークの耳元に顔を寄せた。
「このことはシスターと、村人の一部しか知らないの。私は村で『守護竜様』で通ってるんだから」
「守護竜……?」
「そう。だから、滅多なことで正体を明かしちゃいけないの。わかった?」
結局、聞きたかったことの核心……なぜ彼女がそんな姿になったのか、何があったのかは聞けずに終わってしまった。
聞いちゃまずいことだったのかもしれない。ジークが内心でそんな後悔を抱きかけていると、セラフィナがさらに距離を詰めてきた。
ふわりと甘い香りが鼻をくすぐり、彼女の唇が耳朶に触れそうなほど近づく。
「……続きはまた、あのベッドの中でしようね」
熱を持った吐息混じりの囁きに、ジークの心臓がうるさく跳ね上がった。
「なっ……! 何言ってんだ、お前は!」
顔が爆発しそうなほど熱くなるのを感じながら、ジークは反射的に、セラフィナの肩をポカリと優しく叩いた。
「あいたっ。もう、照れなくてもいいじゃない」
セラフィナはわざとらしく声を上げながら、悪戯が成功した子供のようにクスクスと笑っている。




