第10話 平和な朝
軍での暮らしを思えば、朝は誰よりも早く起きるのが習慣だった。
そしてセラフィナも、竜として村の守りを固めるための日課があるはずだった。
……けれど、現実はそんなに規則正しくはなかった。
七年分の重圧から解き放たれ、心から信頼できる相手の温もりに包まれた二人。
究極のストレスフリー状態となった彼らを待っていたのは、天国のような熟睡だった。
一方、シスターは昨夜の二人の様子を思い出し、最初は気を利かせていた。
「たまにはゆっくり休ませてあげましょう」と。
だが、三十分が過ぎ、一時間が過ぎ。
二時間が経過し、朝の礼拝がとっくに終わっても静まり返ったままの家に、シスターの堪忍袋の緒が音を立てて切れた。
「いくらなんでも寝すぎよ……!」
しびれを切らしたシスターは、まずセラフィナの部屋へ向かった。
しかし、そこには誰の姿もない。
まさかと思い、次にジークの部屋の扉を勢いよく開け放った。
そこには、朝日の中で幸せそうに抱き合って眠る、若い男女の姿があった。
「…………不潔です!! この不届き者共がぁぁぁぁ!!」
静寂を木っ端微塵に打ち砕く、シスターの怒号。
その場に雷が落ちたような衝撃に、二人は心臓が止まる思いで跳ね起きた。
「ひ、ひぃっ!? シスター!?」
「あ、あれ……おはよぉ、ジーク……」
目を回すジークと、まだ夢見心地でジークにすり寄るセラフィナ。
だが、シスターの眼光は一切の容赦を許さなかった。
その後、正座をさせられた二人の前で、シスターは顔を真っ赤にしながら詰め寄った。
「……それで、避妊は!? ちゃんと考えているんでしょうね!?」
「してない! まだそこまでは、というか何もしてないから!!」
ジークの必死の弁明が部屋に虚しく響き渡る。




