ひよこ色の午後
本作は chat GPT執筆/星野☆明美協力 により制作しました。
ひよこ色の午後
小鳥遊茉莉は、教室の窓から冬の校庭を見つめていた。
吐く息は白く、心の中には未来への不安が少しだけ入り込んでいる。
「……お腹空いた」
静かな授業中、ぐぅぅ……と鳴った自分の腹の音に、茉莉は顔を真っ赤にしてうつむいた。
クラスの誰も気にしていないのに、耳まで熱くなる。
けれど、お昼の給食の時間になれば、その恥ずかしさも消えてしまう。
湯気を立てるシチューと、ふわふわのパン。
友達と笑いながら食べるそれは、冬の寒さを忘れさせてくれるごちそうだった。
放課後、オタク気質の男子と並んで歩きながら、最近見たSFアニメの話をする。
彼はメカや設定を熱く語り、茉莉はキャラクターの気持ちを語る。
見ている場所は違っても、笑い合っていると寒さも忘れてしまう。
「茉莉ちゃん、それはヒミツです」
ふいに彼女が言うと、彼は慌てて「ずるいよ、茉莉ちゃん」と返す。
二人の声が冬の夕暮れに溶けていく。
──季節は巡り、夏。
プールの水面がきらきら光り、ゼッケン付きのスクール水着の茉莉が笑顔で水しぶきをあげている。
泳ぐのが苦手な彼をプールサイドから呼んで、しぶしぶ飛び込ませる。
その瞬間の「本当に楽しそうな笑顔」が、彼の胸に強く刻まれる。
やがて時は流れ──。
30代になった茉莉は、主婦として静かな午後を過ごしていた。
食事の後片付けを終え、ソファに腰を下ろしてアルバムをめくる。
そこにあったのは、夏休み前に撮ったクラス写真。
荷物を足元に置いた子、通知表を丸めて剣のように振る子。
その中で、自分の隣に写っていたオタクくんを見つけて、茉莉はふっと笑った。
「青春をありがとう」
胸の奥でそっとつぶやく。
夫が隣に座って新聞を読んでいる。その横顔は、彼に似ているようで、そうでないようで……曖昧な温もりが胸を包む。
アルバムには、金色の栞が挟まっていた。
ステンドグラスのような模様の栞。
それは、かつての友人──織音ちゃんからの手紙に同封されていたものだ。
「またお茶しようね」
手紙の最後には、薄ピンクのうさぎさんの落書きがあった。
それは、あの日二人で食べた練りきりのうさぎと同じ形。
ひよこ色の午後の光が窓から差し込み、ページを照らす。
茉莉は微笑み、栞をそっと撫でた。
あの頃の甘くて優しい時間が、今も変わらず胸に息づいている。
──ひよこ色の午後は、ずっと続いていた。




