訪問者?
コツコツ
窓を叩く音が聞こえる
いつものビーランと思い。
姫が窓を開けると。そこにビーランはいない。
突然、彼女の顔に温かいものを感じた。
そこにいたのは、ビーランだが・・・
ビーランに包まれたキヌリアだった。
数日姫からの連絡がないので、心配していたのだ。
しかし彼は、水中では羽を濡らしてしまうため動けない。
あまりにも連絡の無い姫を心配して、ビーランに頼み込み、その姿をビーランの液体に包んでもらい、海中の城までやって来た。
以前の様に、もう少し身体が小さければ、ビーランが彼を運ぶことは難しくなかったが、この数年、キヌリアは非常に大きくなった。
翼を広げると、空が隠れてしまうのでは無いかと思えるほどに成長した。
ここまで大きくなると、ビーラン1匹で彼を運ぶのは難しい。かといって他のものに頼むわけにも行かず。
今夜はありったけの力を振り絞り、王子をここまで運んできた。おかげで、ビーランはへとへとだ。
王子は姫を窓から見つけると、その頬にキスをした。
”やっと見つけたよ、僕のお姫様。一体どうしたんだい?この数日何の連絡もないなんて。
心配していたから、何度もビーランを送ったのに、全く返事がないから、結局僕からこちらに来たよ。何があったんだい?”
そういって、姫を見つめる王子の瞳は、いつもより深い緑の色をしていた。そこに映るどこか空な姫。
彼女は王子を見るなり泣き出した。
悲しいというよりも、嬉しかった。
誰よりも愛おしい、そして会いたかった人がそこに居る。もう言葉では無かった。
ただ彼に側にいて、抱きしめて欲しかった。
しばらく2人は見つめ合い、そして2人の気持ちを確かめた。
王子にも婚約の話はある。
だが、彼はその話を断り続けている。
もちろん姫と共にいる為に。
姫は己の運命をどう説明して良いのか、戸惑っている。
キヌリアはそっと彼女の唇に、自分の唇を重ねた。
”カリエンヌ、君だけを愛しています。他の人など考えられない。
どうか、僕と共にこの先もずっと過ごして欲しい。君とこの命尽きるまで、すっと一緒にいたいんだ”
姫も同じ。何があろうと、彼と居ることしか考えられない。
二人は見つめ合い、お互いの気持ちを確信した。




