1人にして
数日の間、姫は部屋に篭り、誰とも会うことはなかった。
彼女がいかにショックを受けたか・・・
いつもなら明るく、何をやらかしてもあまり反省もしないお転婆の姫が、全く誰とも会わない。
部屋の外に出ない。
皆かなりの不安を感じていた。
結局、彼女の盛大な誕生会も行われることはないまま、彼女は成人した。
窓辺にはいつものビーランが来るが、今はたとえ愛しい王子であっても、会う気にはなれなかった。
そう、この数年姫と王子は何度も皆に内緒で会っていた。
そうこうするうち、彼ら2人には愛情が湧き、2人は結婚するつもりなのだ。
数日後、覚悟をしたような表情で、姫は王の元を訪ねた。
”お父様、運命とはこのまま変える事はできないのでしょうか?
私は、この国の礎となる事はできません。私の代わりに、どなたか。
このままお父様のように、大樹を守るだけならまだしも・・・・・”
暗い表情で王はこう言った。
”おまえしか居ないのだよ。私の大事な姫。
私がどんなにお前を愛しているか。生まれた時、あの文様を見て、何度運命を呪ったことか。
それでも、ただの言い伝えと、私も信じようとしてきた。
だが、何か歯車が動き出し、その歯車が違う方向に進もうとしているのが感じられる。”
私ができるなら、何度代わってやりたいと思ったことか。
(どこに自分の娘にこんな運命を任せなければいけない親がいるのだろう?)
それが王の脳裏にいつも浮かんだ。
4人の子供達は皆よく育ってくれた。爺も皆よくやってくれて、自分たちは幸せだ。
国も安定している。
それゆえ、(運命に恨まれたのか?)
何度そう考えてたことだろう。
耐えきれずに姫は、
”お父様、私はキヌリアと結婚します。他のどなたとも一緒になるつもりはありません。”
”それは不可能だ。お前は、その理由を私よりよく知っているはず”
姫は俯いた。あの時、姫が光に包まれた時、大樹は全てを教えてくれた。
だからこそ、王子との婚姻が無理なのはわかる。
でも・・・・・
王の答えは決まっていた。
”近いうちに、お前の婚姻の儀を行う。相手はもう知っているね。
他に方法はないのだよ。お前は、婚姻の儀を行うまで、部屋から出てはいけない。これは命令だ”
部屋に閉じ込められた姫には、もうどうしたら良いのかわからなかった。
自分の気持ちに正直に生きたい。しかし、その代償が大きいことは、彼女が一番よく知っていた。
父である王のこの仕打ちが、彼女の為を思ってのことなのは、よくわかっている。
だから、どうしようもない。諦めるしかない。
そう言い聞かせて、この数日を過ごしてきた。




