後のお話
カリエンヌ達が国に戻ると、吸血鬼達は全て焼き焦げていた。
マーキラの子孫だったパラリの姿も燃えていた。
真っ黒なその姿は無惨で、装飾品でやっと彼女と分かった。
彼らは歴史文献を全て隠し、一部処分していた。歴史から何か掴まれる事を恐れていたらしい。
大樹に関すること、ジュエル達に起こった事などの文献が、後になって、彼ら一族の隠れていた場所から発見された。
爺がカリエンヌの側に走ってきた。
”姫様、よくご無事で。戻ってくださったのですね”
泣いた姿など見たことのない老人武勇の姿は、カリエンヌの心をいっぱいにした。
”もう大丈夫よ、爺。心配は要らない”
”心配の無い事などありませんぞ。姫が生まれてから、いっときたりとも、安心したことはありません”
爺の言葉に笑いが漏れる!
キヌリアとカリエンヌは結ばれた。
皆に祝福され、2人の婚姻の儀が誓いの丘で、大樹の元で行われた。
精霊達も参加し、国中挙げてのお祭り騒ぎだった。
カリエンヌにはいくつかの疑問があった。
3つの世界に行った時、カリエンヌにはキヌリアが分からなかった。
”ねえ、貴方は何処に、どんな姿で居たの?”
キヌリアはプッ吹き出し、こう言った。
”君は本当に夢中になると、何もわからなくなるんだね。
1つ目の世界では、僕が君を逃したのだよ。
侯爵の家来が牢に来ただろう?あの時僕が君を逃す手筈を整えたのだよ。
君の爪から匂いが出てきただろう?そして鍵にもなったはず。
2つ目の世界では、王子のふりをしていたんだ。
僕自身、君のことは全く記憶から消されていたけど、僕はまた君に恋をしていた。
本当のラビナス国の王子は、あそこにいるよ!”
オリナスとは全く違う王子がそこに居た。
”3つ目の世界では、僕は亀となって君を導いた。
最初はみんなの夢の世界だったけど、最後は現実の世界だった。
君も気づいたよね?
どうなるのか僕にもわからなかたけど・・・
君しかこの世界を救うことはできなかった。
だから・・・
ビーランを覚えている?体の一部が僕に付いていた。そのお陰で、完全に吸血鬼になる事がなかったんだ。ビーランは血がないから。吸血鬼に変えられるはずもなかったさ。
感謝しているよビーランには。”
にっこり笑ったカリエンヌは、キヌリアに抱きついてキスをした。
皆が恥ずかしそうに見ている。
”大好きよキヌリア! 愛しています。
それに冒険って、ワクワクする。”
ちょっと困った顔で、キヌリアはカリエンヌにこう答えた。
”カリエンヌ、今後はもう少し大人しくなろうね!
君ももうすぐママになるんだから!”
そう2人の赤ちゃんがもうすぐ産まれる。
そんな二人のラブラブな姿を、ビーランが撮影しみんなに映し出している。
今後は小さな2人の赤ちゃんの面倒を見るつもりらしく、爺もすっかり元気になって、尾鰭を動かしながらくるくると踊っていた。
”ところでキヌリア、貴方が息を吹き返した時、小さな男の子の光が、貴方の体に入って行ったけど・・・あれは?”
”彼はオーベルン王子だよ。ジュエルとフィーリアの王子。
ずっと精霊として、大樹の中で育っていた。
彼はカイルの呪いを受けて、吸血鬼の姿になるところだった。
でも大樹の中で育つうちに、元の姿に戻り、成長していたんだ。
彼の精霊としての責務も終わった。
カイルの呪いが解けたからね。
ずっと産まれる事を望んでいたんだ。彼は。
彼が僕に命を吹き込んでくれた。
大事にしよう、彼の分も。一緒に生きよう!”
キヌリアはじっとカリエンヌを見つめた。
”もう1つ君に話すことがある。
実は僕にも紋章があるんだ。
月と半月の紋章が、僕の両手に現れる。
おそらく僕らは強い力を、お互いに持って生まれたのだろうね。
そのおかげで力を合わせて、運命に打ち勝った!
これからは、皆が幸せに過ごせる、楽しい国を作ろう!この子の為にも!”
カリエンヌのお腹に耳を当てるキヌリア。
”カリエンヌ女王様、歌って、貴方の声が聞きたいと皆望んでいるわ”
ライリーがお祝いに駆けつけてくれていた。妖精も、魔法の国のみんなも。
ドラゴン、ユニコーン、フェニックス、地上の動物も民も、人魚も海中の生物みんながお祝いしてくれる。
あんなに恥ずかしがり屋だったフィフィは、大音楽家になり指揮者となっている!
”皆の為に歌いましょう。
この幸せが永遠に続きますように!”
おしまい




