お祭りの夜の後
城にも戻ったカリエンヌが、どれだけ皆からのお叱りを受けことか。
なぜか国王である父は、顔色を変えていた。
過保護な3人の王子達は、彼女の無事に涙していたが、なぜあんなにも父が怒っていたのか、姫には不思議でならなかった。
数日後、カリエンヌのもとに、1羽の鳥がやってきた。ゼリーのような液体に包まれた、嘴の長い、緑色の変わった鳥だった。
鳥はカリエンヌの部屋の窓をコツコツと嘴で叩き、中に入れて欲しい素振りをする。
姫が鳥を招き入れると、大きな口の中から、筒状のものが出てきた。体を覆うゼリーは空中で1塊になった後、平たい楕円状に広がった。
先ほどの筒が楕円に向かって、何か映し出した。
そこにはキヌリア王子が映っていた。
彼からのビデオメッセージ。
”やあ、カリエンヌ姫。ご機嫌はいかがかな?相変わらずのお転婆ぶりかな?
あのお祭りの夜、僕もかなり両親から怒られたよ。しばらくはこの城から出禁状態。退屈していたところ。
君はどう?あの後怒られたかな?
こちらはとても良い天気だよ。こんな日に城から出ることもできないとはね。
良かったら、君も僕にメッセージをくれないかい?
この子はビーラン、こうやってメッセージを届けてくれる。ビーランの目に映るものを、相手に映し出してくれるんだ。
もし良かったら、君もこの退屈といる僕に何かメッセージをくれないかい?”
カリエンヌは、思わず吹き出してしまった。
容姿はあの時のままだが、なんだか普段のキヌリアは、とても親しみやすく、話しやすい。
あの夜、短い間ではあったけど、楽しい時間を過ごした彼女に、キヌリアはとても懐かしい人であった。
早速、カリエンヌはビーランにメッセージを送ることにした。
”こんにちは、キヌリア王子。
こちらもあの後こっぴどく怒られて、ほとんど外に行くことはできないわ。お兄様達は私が誘拐されたのでは?と妄想してわんわん泣いていたし、お父様はなぜか今までにないほどに怒っていた。
あんな姿を見たのは初めて。
仕方ないから、私も大人しくしているけど退屈で。
あの後貴方のことを噂で聞いたのだけど、貴方外国に行っていたのでしょう?遊学していたとお兄様が言っていたわ。だから今までお会いしたことが無かったのだと。
貴方がいたという、外国のお話を聞かせてくださらない?”
こんな調子で、2人のメッセージの交換が始まった。
キヌリアが遊学していたというのは事実らしく、彼の教えてくれる外国の様子は、想像するにはあまりにも不思議すぎた。
上と下が逆転し、常に木々に足をぶら下げて暮らす一族の話や、地中に暮らし、噴火の時だけ地上に出てくる一族。
透明な世界で、雨で濡れた時だけ形の現れる国。
全てが平ら。誰がが手を加えてやらないと、全てがペラペラの国。そこは皆ゆらゆら風に身を任せて暮らしているのだと言う。
キヌリアのお話はとても楽しく、時々事実かどうかを疑うが、カリエンヌの興味を常に引き付けてやまなかった。
やがて、皆には内緒でビーランの体液に隠れ、カリエンヌとキヌリアはこっそり城を抜け出し、会うようになっていった。




