終焉(1)
吸血鬼になったものは皆焼き落ちた。
キヌリアだけは何故か生き残っていた。
彼は空の国、リーデル国王子。
空の国の者は太陽との相性がよく、度々紋章を持つ者が生まれていた。
その者達は、金色か銀色の羽を持ち、彼らの収める時勢は発展した。
しかし後継が生まれることなく、その者の代で国は代わり、他の国に受け継がれていた。
国名が長いのは、その為だった。
色々な国が合わさって繋がっていた。
キヌリアも実は紋章を持って生まれていた。
太陽の恩恵か、彼は吸血鬼となっても滅びることは無かった。
二人は大樹の間の空間にいた。
カリエンヌがキヌリアを呼び入れた。
”やっと会えましたね、長かった、ずっと貴方を待っていた”
カリエンヌがキヌアリに話しかけた。
キヌアリは牙を剥き出して、彼女の上空で止まっている。
”私は自分の運命を信じたく無かった。
紋章を持って生まれただけで、満月の夜に出かけることもできない。
そして貴方と出会い、結ばれることも、この子を産むこともできない定めなど、信じたくは無かった。
自分の身勝手さから、この世を闇に貶めることになってしまった。
貴方のご両親は、吸血鬼の餌食となり命を落とした。
貴方自身も、こんな姿にしてしまった。
全て私が定に従おうとしなかったから。
私が掟にあるように、他の方と結ばれていたら、貴方を好きにならなければ、貴方も他の人も苦しむことは無かった。
いくら昔からある呪いとはいえ・・・・・
ここで終わらせましょう。
呪われた運命など、これでお終いにしましょう。
貴方のその鋭い牙で、私の血を吸うのです。
そうすれば、貴方は元に戻るはず。
呪いも定めも、全て私とこの子で受け入れましょう。
この運命の樹が、私たちを受け入れてくれるでしょう。
私とこの子が居なくならなければ、貴方は元には戻れない。
この世の私がいる限り、私の血を受け継ぐこの子がいる限り、この運命は終わらない。
この剣で、私の胸を貫きなさい。
そうすれば、国は終わる。あとはお兄様達がなんとかしれくれるでしょう。
(あんなに優しいお兄様達まで、戦に巻き込んでしまった。すっかり疲弊してしまって・・・)
全てを知った時から、この時を、貴方が鬼となって私を殺しに来る時を待っていたの。”
カリエンヌは己の剣を両手から出した。
刃先を自分の方に向けて、キヌリアに剣を掲げた。
血のような赤い目を持ち、ニヤリと笑うと、キヌリアは剣を目指して急降下してきた。
剣をつかみ、その剣の先をカリエンヌの胸に向けた。




