別の扉(6)
カイルは身を隠していた。
身体はジュエルとの戦いで滅んだが、彼の魂は生きていた。
別の幼い子の体に魂はこもっていた。
時々、吸血衝動が起きる。
また吸血衝動が治ると、元の自分に戻っていった。
この繰り返し。
”なんて事をしたんだ”
後悔の念に苛まれ、悩み苦しんでいた。
薬を盛られたいたことを知らないカイルは、全て自分が起こしたことだと思っている。
長い時が経ち、
カイルを探しにきたマーキラとその一族から、実は薬を盛られていた事を知った。
あまりの真実に驚き放心していたスキを狙い、
マーキラは更にカイルの吸血衝動を高めようと、彼に噛み付いた。
焦燥していたカイルは、スキを狙われ、完全な吸血鬼となった。
ある時マーキラ達と共に、人魚や空中のもの達を襲い始めるようになり、とうとうジュエルに見つかった。
それはまた満月の夜だった。
力では互角であった兄弟も、もしかするとジュエルより強かったかいるが、今では太陽の陽を避けなければいけない者と成り果てた。
ジュエルはフィーリアの力を借りて、太陽を操り、カイル達に浴びせた。
燃えながら体が消えて行く途中、カイルはこう言った
”永遠の呪いを我が兄に。そしてその一族に。
決して太陽と月の紋章のものが結ばれる事がないように。
ジュエル、お前の息子の中には吸血鬼の血を混ぜてある。
フィーリアに噛み付いた時、俺の血を入れてやった。
これから、どんなに時が過ぎようが、この2つの紋章が結ばれる時、
我が力が復活する。
永遠の夜が。”
最後の言葉と共に、カイルの体は朽ち果て、砂となって大樹の方に風と一緒の吹いていった。
”カイル、これがお前の最後の言葉か!”
ジュエルは悔しかった。あんなに優しく、聡明で、仲の良かった兄弟が、こんな姿で最後を終わるとは。
命を奪っただけでなく、精霊となった息子に、呪いまでかけていたとは!
(この先、絶対に掟を守らせなければいけない。
紋章の現れるものは、満月の夜に空の国の者と結ばれてはいけない。
この世は闇と化す・・・)




