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月の夜に  作者: カノン
31/42

別の扉(2)

 お祝いに間に合うようにと、朝早くからカイルは出かけて行った。


 なかなか海流が暴れる区域で、お目当てのまほろば貝を見つけることができるか、少々不安そうだったが。

 万全の支度で、彼は出かけて行った。


 ”2人が驚くようなお祝いを持って帰るから、楽しみにしていてよ、ジュエル!

 今回はちょっと危ない海中に行くから、エレン、君はお留守番だ。

 お土産持って帰るから、大人しくしていてくれよ!”



 そう言って、カイルは出かけて行った。






 数日が過ぎた。







 戻らないカイルを皆心配している。


 ジュエルはこの数日一睡もしていない。

 フィーリアも・・・。



 嫌な予感がしていた。





 大声で誰かがジュエルを呼んでる。



 ” !!!!”


 ”ジュエル王!!!”


 ”大変だ!”


 そんな声が聞こえてくる。




 ジュエルは城から飛び出した。




 ”カイラが・・・!”



 真っ青になって駆け付けたジュエル

 信じられない物を見た顔だ。

 フィーリアは泣き崩れている。





 カイラの半身が無くなっていた・・・






 海流に飲み込まれ、瀕死の状態で漂っていたところを、他の人魚が見つけて連れてきてくれたが、

 彼の半身が亡くなり、大量の出血をしている。




 急いで病院に連れていかれたカイルは意識を失っていた。





 正気を失ったようなジュエル。

 周りの者に支えられながら、カイルのいる病院へとジュエルも向かった。

 あまりのショックで、フィーリアは気を失ってしまっていた。






 何時間にも及ぶ手術の後、カイルは助かったが、

 今後泳ぐことも、歩くこともままならず。



 彼は自由を失った。








 (あの時、2人の為のお祝いを探しにいかなければ、こんなことにはならなかったのかもしれない。



 不思議だったのは、突然あの激痛、頭が割れるように痛かった。

 それで気を失い、気づいたら海流に飲み込まれ、海を漂っていた。

 一体何故、あんな激痛に襲われたのか?



 もうどうなってもいい。

 時間は戻らないのだから・・・)




 不自由な体になったカイルは、病室から外を眺めていた。


 ジュエルは毎日来てくれるが、会いたくなかった。

 フィーリアはカイルを見たショックから、突然産気付き出産した。かなりの早産だったが、幸い無事に生まれた。




 唯一、彼が言葉を交わすのは、看護師のマーキラだった。

 マーキラは献身的に彼の面倒を見てくれた。



 一方で、カイルに、

 もし彼がお祝いの貝を探しにいかなければ、こんなことにはならなかった。

 もしカイルが王になっていたら、違う結果だっただろう。

 もし、もし・・・

 と何度か呟いていた。





 最初は耳を傾けなかったカイルだったが、そのうちマーキラの言うことが正しい気がしてきていた。


 (もし、自分が王だったら?

 いや、ジュエルだから、この世界はうまく行っているはず。

 でももし自分が王だったら、もっと違う世界だった。

 もっと良い世界だった。

 もっと・・・・)


 と段々考え始めていた。




 

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