別の扉(2)
お祝いに間に合うようにと、朝早くからカイルは出かけて行った。
なかなか海流が暴れる区域で、お目当てのまほろば貝を見つけることができるか、少々不安そうだったが。
万全の支度で、彼は出かけて行った。
”2人が驚くようなお祝いを持って帰るから、楽しみにしていてよ、ジュエル!
今回はちょっと危ない海中に行くから、エレン、君はお留守番だ。
お土産持って帰るから、大人しくしていてくれよ!”
そう言って、カイルは出かけて行った。
数日が過ぎた。
戻らないカイルを皆心配している。
ジュエルはこの数日一睡もしていない。
フィーリアも・・・。
嫌な予感がしていた。
大声で誰かがジュエルを呼んでる。
” !!!!”
”ジュエル王!!!”
”大変だ!”
そんな声が聞こえてくる。
ジュエルは城から飛び出した。
”カイラが・・・!”
真っ青になって駆け付けたジュエル
信じられない物を見た顔だ。
フィーリアは泣き崩れている。
カイラの半身が無くなっていた・・・
海流に飲み込まれ、瀕死の状態で漂っていたところを、他の人魚が見つけて連れてきてくれたが、
彼の半身が亡くなり、大量の出血をしている。
急いで病院に連れていかれたカイルは意識を失っていた。
正気を失ったようなジュエル。
周りの者に支えられながら、カイルのいる病院へとジュエルも向かった。
あまりのショックで、フィーリアは気を失ってしまっていた。
何時間にも及ぶ手術の後、カイルは助かったが、
今後泳ぐことも、歩くこともままならず。
彼は自由を失った。
(あの時、2人の為のお祝いを探しにいかなければ、こんなことにはならなかったのかもしれない。
不思議だったのは、突然あの激痛、頭が割れるように痛かった。
それで気を失い、気づいたら海流に飲み込まれ、海を漂っていた。
一体何故、あんな激痛に襲われたのか?
もうどうなってもいい。
時間は戻らないのだから・・・)
不自由な体になったカイルは、病室から外を眺めていた。
ジュエルは毎日来てくれるが、会いたくなかった。
フィーリアはカイルを見たショックから、突然産気付き出産した。かなりの早産だったが、幸い無事に生まれた。
唯一、彼が言葉を交わすのは、看護師のマーキラだった。
マーキラは献身的に彼の面倒を見てくれた。
一方で、カイルに、
もし彼がお祝いの貝を探しにいかなければ、こんなことにはならなかった。
もしカイルが王になっていたら、違う結果だっただろう。
もし、もし・・・
と何度か呟いていた。
最初は耳を傾けなかったカイルだったが、そのうちマーキラの言うことが正しい気がしてきていた。
(もし、自分が王だったら?
いや、ジュエルだから、この世界はうまく行っているはず。
でももし自分が王だったら、もっと違う世界だった。
もっと良い世界だった。
もっと・・・・)
と段々考え始めていた。




