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月の夜に  作者: カノン
27/42

夢の国

 夢の国


 そこは夢の国

 最後の国


 2つの国でキヌリアを見つけることはできなかった。

 本当に彼はいたのだろうか?

 だんだん疑いの気持ちが膨らんできた。



 意識がはっきりしてくると、

 知らない顔だが、沢山の人魚がいる。

 空の民も陸にも民衆が溢れていて、太陽が眩しい。


 見たことのない果実が、空中に生息する植物から成っている。


 果物の影からは、臆病そうな虹色の鳥たちが、こちらを覗き込んでいる。


 変わった形の鳥。尻尾が長く、先が5股に分かれ、そこに小鳥を囲っている。

 どうも、分かれた尻尾の先の分だけ、小鳥が居るらしい。


 4本足の動物も生息してる。赤と黄色の格子模様で、耳が長い動物。


 牙が丸く、下顎が飛び出した水色の動物。


 丸く、キョロキョロした目が可愛い魚のようだが、空中を泳ぐ魚?


 最初の国にいたペラペラの動物みたいなものも漂っている。




 見たことがない景色、見いた事の無い生物達。




 カリエンヌは周りをキョロキョロしながら、散策し始めた。

 良い散歩日和。


 緑が溢れ、花が咲き、鳥たちは歌い、周りの動物も静かで落ち着いている。

 陽が海水を照らして、キラキラしている。魚達も幸せそう。


 幸福な時間とは、こういう国を言うのだろうと思わせる。




 海の王国も、十分幸せな国ではある。


 だが幼い頃から、何か他とは違うもの持っている事を感じていたカリエンヌにとって、

 心から落ち着いた幸せ感じる時が、無かったのかもしれないと少し思わされた。



 それがこの国はどうだろう。

 誰も知らない、何も知らない。


 でも幸福感しあわせかんが溢れてくる。






 探索を続けると、そこに数人の人影を見た。

 皆で踊りの練習をしている。


 ”貴方も一緒にどう?”


 カリエンヌを見かけると、誘ってくれたのは羽の生えた人魚。


 ”こうやって毎日嬉しい時は踊るのよ”


 楽しそうに踊っている。

 カリエンヌも中に入れてもらい、皆と踊り始めた。


 そのうち笛を吹くものが現れ、弦を弾く音、楽器の音が増えていき、音楽と一緒に踊りが続く。


 音楽に誘われるように、空中に広がる花がさらに開花し、中から虹や御馳走、鳥や花火といろいろなものが現れる。


 歌い踊り、楽しい時間が過ぎていく。




 カリエンヌはただ皆と一緒に時を過ごしていた、

 ”こんな世界があるなんて。

 楽しい〜ーーー”






 どれだけの時が過ぎたのだろう。


 気づくと1匹の亀が足元にいた。

 じっとカリエンヌを見ている。


 ”どうしたの亀さん。貴方は踊らないの?こんなに楽しいのに”


 亀は見つめ続ける。

 亀の瞳の奥に何か見えた気がした。

 瞳のずっと奥に。


 それは・・・・・

 キヌリアの顔だった。




 その瞬間、カリエンヌは現実に引き戻された。


 ”私何をしているのかしら?皆はどうしているかしら?キヌリアは?

 ここで楽しく過ごしている場合ではないわ。私は国に戻らなくちゃ!”




 亀が振り向いた。まるでついてこいと言っているように見えた。



 カリエンヌは亀の後ろをついて行く。


 のそのそと歩いて行く亀は、小さな子亀の様。



 彼の後ろ姿に夢中で、気づかなかったが、いつもまにか違く空間のような場所を歩いていた。


 先ほどの楽しげな風景とは違って、何もないがキラキラした空間。





 先に行くと、扉がある。

 亀は扉の前で止まり、カリエンヌの方を振り返る。

 扉を開けろと言う意味らしい。


 カリエンヌが扉を押すと、そこにはいくつもの鏡があった。

 扉の裏側は鏡なのだ。




 ”よくここまで来たねカリエンヌ”




 声の主は亀だった。


 ここは鏡の国。夢の国と呼ぶものもいる。


 ”みんなの心を映す鏡の国だよ。こうしたい、ああしたい、こうなって欲しいと言う望みを映し出すんだ。だから夢の国。

 君がいたのは、君の幼い時の心の鏡。

 ああなりたいと思ったことはなかったかい?”




 確かに、カリエンヌが幼い頃に思い描いた様子かもしれない。


 ”こっちを見てごらん、この扉。少し覗いてみようか?”


 亀の指す扉を押してみた。


 そこは懐かしいお城。父が居る。



 赤ちゃんのカリエンヌを覗き込みながら、微笑んでいる。


 ”この子は幸せになる。こんなに可愛いのだから。

 幸いあの紋章は私の代に現れた。この子は自分の好きな人生を送って、好きな人と結ばれるだろう。

 良かった。”


 と赤ちゃんのカリエンヌに話しかけている。

 これは父の夢。



 

 別の扉を開いてみると、

 爺が居た。


 ”もう少し大人しい姫であると、私の苦労も減ると言うもの。

 まあそれでも、あんなに素直に優しい姫に育ってくださった。これ以上は私の我儘わがままかもしれない。


 王妃様が早くに亡くなられ、できる限りのことはしてきた。


 姫がこの先幸せでいてくれますように。

 姫のお子さんを見れるだろうか?

 きっと可愛くて、優しいお子さんが生まれることだろう。

 それまでは私も頑張らねば!


 それにしても、もう少しあのお転婆が治ってくれると、寿命が7000年は伸びるのだがなあ・・・


 この間のように、大緑鮫の虫歯を抜こうとして、口の中まで飛び込んでいき、大緑鮫が呼吸困難で死にそうになるわ、姫は口から抜け出せなくなるわ。


 あの時皆真っ青になった”


 幼い頃、そんなことがあったのを思い出した。

 確かにあの後、爺に数時間のお説教をされた。




 カリエンヌは別の扉を開け始めた。

 次の扉には母が居た。


 カリエンヌは王妃である母をほとんど知らない。

 美しい肖像画は何枚も見たし、皆からの話を聞くととても知的で優しい人であったと聞くが、カリエンヌを産んですぐ亡くなってしまった。


 ライリーから。母が妖精の国の者だと聞いてびっくりした。

 人魚だと思っていたからだ。

 確かに全身の肖像画は見たことがなかった。


 今まででも、人魚と他の国の民が結ばれることは多々あった。

 それは王族でも同じことだ。

 だが立派な尾鰭を持つが、羽を持たないカリエンヌや兄たちを見て、母が妖精だったとは考えたこともなかった。


 初めて見る母の動く姿。


 優しく美しい母のその姿。


 退化した羽パタつかせているが、ビーナスの椅子に座り、立派な尾鰭をユラユラさせ、カリエンヌを抱っこしていた。


 周りには3人のお兄様達もいる。


 ”貴方達の小さな妹ですよ。こんなに小さな可愛い姫。私のカリエンヌ。貴方とずっと一緒にいたいけれど・・・私の体の調子が、あまり良くないのよ・・・


 私の代わりに、カリエンヌをお願いね。3人の私の大事な王子達”

 兄達に微笑む母は、とても美しく、どこか物悲しい。




 ”もちろんお母様。

 僕らはお母様のことも、カリエンヌの事も、絶対に守るよ!

 心配しないで。もし悪い奴らがきたら、こうやって、エイってやっつけてやる!”


 ”僕も”


 ”僕も僕も”


 3人の王子達は、敵をやっつけるふりをしている。




 微笑ましく見つめる王妃


 ”あらたくましい。

 では心配はありませんね、こんなに素敵なナイト達が守ってくれるのだから”



 ”もちろんだよお母様”


 きっと王妃である母が望んだ日常だったのだろう。




 その後も、カリエンヌはいくつかの扉を開けてみた。


 子沢山の亀達の望み。


 フィフィがオーケストラの団員になる様子。


 フェニックスが球技大会をする様子。

 いつもボールがゴールを焼いてしまい、ゴールにならないからだ。




 ユニコーンのツノに引っかかったものを素早く取り除く、便利グッズの発明。

 悩みだったのね、ユニコーン。

 結構直進するから、ツノに突き刺さるものや、引っかかるものが多いとは聞いていたけど。




 海底で眠っているのに、光に悩まされる大緑鮫。その上虫歯。

 (日に当たらないから、虫歯になるのよ!)

 と勝手に思い込むカリエンヌ。




 カゴに入れた大赤ワシの赤ちゃんを、ベルトコンベアで運ぼうとする、空の従者達。

 赤ちゃんといえども巨大なので、暴れて大変・・・

 いつもは10人がかり抱えて、1匹を運んでいる。

 運ぶのが大変そうとは思っていた。

 重いし。



 虹の橋を渡ろうとするビーラン。

 ビーランは足が無いから、歩いて渡るのは無理。

 飛んで渡るのはできるのに、歩いて渡りたいのね。




 様々な望み、夢、希望が見える。


 























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