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月の夜に  作者: カノン
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2つ目の冒険(1)

 2つ目の世界


 どこかの世界を漂っていた。


 1つ目の世界で、カリエンヌは、キヌリアを見つけ出すことはできなかった。

 キヌリアも、カリエンヌを見つけ出せなかったはず。

 本当に彼がいたのか?一体どんな姿で現れていたのか、ずっと考えているが思いつかない。

 彼も私を認識できなかったと思う。


 気持ちが通じていないから?

 お互いが愛し合っていると思っていたが、ただの幻だったのかしら?


 少しの疑問がカリエンヌに浮かんで来た。








 だんだん現実に意識が戻ってくると、そこには別の世界が広がっていた。


 魔法の世界。


 へんてこりんなお家が沢山ある。

 木にぶら下がる家。

 恐竜の頭の上に作られた家。

 長ーい首を持つ動物の鱗をドアにして、あちこちから出入りできる家。

 逆さまの家。

 手で簡単に持ち上がる、バッグのような家。

 奇想天外な家ばかり。



 そして、誰もいないが、微かな声は聞こえる。

 ヒソヒソ ヒソヒソ



 気がつくと、衣類のようなものが勝手に動いている、

 冠をつけた衣装や、水着。ミニスカートにセーター。靴下だけが歩いている場合もある。







 陽が落ちて、夕方になり始めた。

 それでも民の姿を見ない。

 何か聞こえるが、姿がない。

 衣類だけが動く街。







 夜になり、一人ぼっちで寂しい思いをしていたカリエンヌは、海辺で月を眺めていた。

 尾鰭を揺らしながら、一人歌を歌っていた。




 ”あーやっと少し大きくなった、君はカリエンヌ姫でしょう?”


 声をかけられたが、一体どこから聞こえるのか。


 ”ここだよここ。貴方の足元”


 足元には踵の高い、華美な装飾の靴が2足ある。




 ”靴が喋るのが、魔法なのかしら?”

 カリエンヌが靴を覗き込むと、中からニューッと煙が出た!



 そして、小さな子供くらいの男の子が姿を現した。


 ”こんにちはカリエンヌ姫。僕はオリナス。魔法を使うこの国の王子だよ。驚かせたかな?”


 丁寧な口調とは相違する、子供のようなその姿。


 ”初めましてオリナス王子。私は貴方のおっしゃる通りカリエンヌです。

 貴方はとてもお利口さんね。

 こんなに小さいのに、立派な大人のような口調でお話になるなんて!”


 少しムッとした顔をしたが、すぐにオリナス王子は気を取り戻して、こう答えた。



 ”カリエンヌ姫、どうやら君は大きな勘違いをしているようだよ。

 僕は君よりずっと年上の3587歳。

 こんな姿をしているのは、君のせいだよ”


 ”えっ?”

 ドキッとした。



 ”君は世界が異変を起こしている事を知っているよね?その原因が何かも。


 よく見てごらん、月が太陽を覆い始めている。


 僕らは昼間の太陽のエネルギーと夜の月のエネルギー。

 この2つの調和で魔法を作り出す。


 しかし、このところ、月が太陽を侵食し始めた。


 この間まで、半分の太陽を侵食していたのが、更に進んでいる。


 夜が長くなり、月の力が強くなり過ぎているからさ。


 これでは魔法を作れない。


 昼間は体も小さくなってしまい、こうして身につけている物の中に住みながら移動しているんだよ。


 夜になって、月の力でやっとここまでの姿になれるけれど、これ以上には、大きくなれなくなってしまった。


 中には、力の補充ができず、枯れて草や木になってしまった魔法使いが沢山いるんだよ。


 あの辺の木にぶら下がってるのは、力を失ってしまった魔法使いの姿だよ。


 このままだと、昼がなくなる。太陽がこの国には昇らない。


 そうなったら、僕らは皆力を失い、枯れるだけさ・・・・



 このまま魔力が戻らないと、魔法を使えない、魔法で生物を作ることができなくなる。

 花も木も生物も、全て消えることになる・・・




 僕らの友であるホワイトバーンもすっかり弱ってしまっている。

 彼がこの国の守り神なのに。”




 ホワイトバーンとは、この国の守るフェニックス。

 普通フェニックスは火を纏うので、赤い色が主な種だが、なぜかこの国のフェニックスは白い。


 ホワイトバーンと呼ばれ、この国を守っている。




 魔法の国は、カリエンヌの国の属国となるのだが、以前から王同士が幼馴染で仲が良く、カリエンヌの父である王が幼い頃は、よくこの国で遊んでいたらしい。


 魔法の国の面白話を、カリエンヌにもしてくれたものだった。




 王の大好物の焦がし茶を、魔法の国の王が突然嘴に変えてしまい、飲むどころか、飲み込まれそうになって大騒ぎだった事件。


 2人でもよく悪さをしていたらしく、ブーメン城と呼ばれる、花でできたお城に、どうやら海の国のお菓子を持ち込み、城に巣を作る鳥達に食べさせたら、鳥達が歌い出し、止まらなくなったそうで。2000日もの間、鳥が歌いまくり、最後には喉を痛めたとか。



 今でこそ賢者と言われている王達だが、幼い頃はなかなかの悪ガキだったようだ。




 ”お父様、意外にわんぱくだったのよね。お兄様達には受け継がれなかったようだから、あの性格。

 お兄様達は、お母様に似ているということかしら?

 一体誰に、お父様の性格は受け継がれているのかしらね?”


 と心の中で思うのは、カリエンヌ1人のみだと思う。




 そんなカリエンヌを下から覗き込む、オリナス王子。


 ”カリエンヌ、家に来ないかい?

 君に僕の家族を紹介するよ。

 君の父上は既によく知っているだろうけど”




 転げ落ちそうな王冠を被り、オリナスには大きいとわかるブカブカの服を動かしながら、にっこり微笑んだ。

 当てのないカリエンヌは、オリナスについて行くことにした。




 ”ええ、そうさせていただけると、助かります。さっきから誰にも会うことがなく、寂しかったし”




 カリエンヌが嬉しそうに承諾すると、空から赤と白の装飾を施した丸い馬車が降りてきた。

 もちろんホワイトバーンが馬車を引いている。



 ”ではどうぞ、こちらに”

 小さな手を差し伸べて、カリエンヌを馬車に誘導してくれるオリナス王子。




 

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