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月の夜に  作者: カノン
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お祭りの夜 (1)

 カリエンヌが生まれた時、右手には太陽を、左手には月の紋章が現れた、

 それは満月の夜、彼女の両手に現れる。

 その為今回の晩餐会にも参加はできなかった。

 掟があるのだ。


 この紋章を持つ者は満月の夜には、城の外には出てはいけない。





 (今夜は満月

 折角楽しみにしていたお祭り。


 今年こそ、フェニックスに乗り、火縄投げに出店の、虹色の真珠の宝箱を当てるはずだったのに・・・)









 この国には古くから言い伝えがあった


 『月と太陽が満月の世に現れ、その2つが合わさる時に、この世は闇となる』


 何千年も前からの言い伝えで、はっきりとした意味はわからない。

 しかし、姫君の手には満月になると、太陽と月の紋様が現れる。

 その為、今夜は海中のお城でお留守番。


 遠くに聞こえる火花やパレードの音楽を聴きながら、来年のお祭りが満月に当たらないかどうかを貝殻カレンダーで調べていた。

 (でも出かけたい。昨年取れなかった真珠貝の玉手箱を、出店のくじ引きで当てたい!

 あこや貝の中にある、七色の真珠貝。あれが今年もくじ引きに出ると聞いてから、毎日指折り数えていたお祭りだったのに・・・)


 正直はっきりした理由はわからない。ただ両手にこの太陽と月の紋様が出る者は、この世を2つに分けるという言い伝えがある。その意味がよくわからないが、満月の世には、城の外には出てはいけないと言われている。


 (ほんの少しなら?)

と思いながらも、

 (城を抜け出したい、抜け出してはいけない。

 抜け出したことが見つかれば、どれだけ怒られることか。

 でもあの真珠貝の玉手箱!)


 姫は半べそをかきながら、城から出られない不自由さにうんざりし、また、誰があの玉手箱を当てるのか、そわそわしながら部屋のバルコニーから月を眺めていた。







 ”君はお祭りが嫌いなの?”

 どこからか声を掛けられたようだが、一体どこから?

 周りを見渡しても、部屋には誰も居ない。


 ”今宵は満月、皆お祭りを楽しんでいるのに、なぜ君はこの城に残っているの?”


 もう1度辺りを見回しても、誰も居ない。

 声は上から聞こえてくる気がする。


 (今夜から月はしゃべるのかしら?)


 顔を上げて月の方を見ていると、丸く綺麗な月の明かりに紛れていた影が、だんだんこちらに近付いて来た。

 大きな白い羽、金色の髪、まるで月のような色。


 その影が大きくなってきて、気づいたら彼女の目の前にいるのは、姫より少し年上だろうか?

 姫のお兄様達もなかなかの美男子と呼ばれているが、それにも劣らない、比べるにもおこがましいくらい美男子の男性が、空中から姫を見つめていた。

 その緑色の瞳は、月の光に反射して、更に美しさを増している。1目見ただけで、誰でも彼に心を奪われるだろう。





 

 しかし姫は・・・

 恋をするには少々幼いようで、全く彼の容貌には興味がないようだが、彼が空から現れたことに関心を持っているようだった。


 




 ”貴方は?誰?月の使者?”

 お祭りに参加したの?どんな様子?真珠の玉手箱を知っている?クジで当てた人は居た?

 空飛ぶ揚げパン競争の勝者は何個食べたのかしら?今年は空の国の果実で作った揚げパンだから、かなりよく飛ぶと聞いたけど。本当?

 海獣たちの水上パレードはどうだった?私が教えたのよ、今年のコーラスは。

 銀色イルカのフィフィは上手に水ぶえ演奏できたかしら?あの子は私のお気に入りなの。でも緊張していたから心配で”


 ”ちょっと待って。君はなぜここにいるの?城の外に出てはいけないの?自分の目で確かめてみれば?!


 そう言って、彼は姫に手を差し伸べた。


 ”でも・・・・私は・・・•”


 ”私は?何?”


 少し躊躇ためらったが、やはりあの玉手箱が諦めきれない。

(今ならまだくじ引きに間に合うかも!)


 出かけたい気持ちを抑えきれずに、いけない事とはおもいながらも、姫は彼の手を取った。

 その瞬間、姫の体はふわっと浮き、彼と手を繋いだ途端、彼女にも羽が生えたように空中に浮かんだ。


 ”この手を離してはいけないよ。いいかい?”


 手を繋いだ二人は、お祭りに向かっていく。その姿が月に照らし出されていた。

 

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