紫の風(2)
その時カリエンヌの手元に、月と太陽のシンボルが浮かび上がってきた。
両手を合わせると、金と銀の龍が浮かび、1本の剣と形を変えた。
”カリエンヌ、これで光の部分を刺すのだ”
そんな声が剣から聞こえる。
声の通り、目の前に光りが見えた、そこを剣で刺す。
下から込み上げるような光が湧き出し、光の空間に包まれた、
ユニコーンの群れ。
長らしきユニコーンが、つがいと出会い、そして小さなユニコーンが生まれる。
しかし、そこに現れるのは吸血一族。
目の前で、家族を殺されるユニコーン。
ユニコーンを全滅させる。
瀕死の状態のユニコーンの長は、あまりの悲しみと苦しみで、紫のドラゴンに変化した。
”悲しい、寂しい、悲しい、寂しい”
繰り返し、ユニコーンの心の声が聞こえる。
形を変えたユニコーンが1匹で放浪している時に、妖精の国が見えた。
皆楽しそうに、歌い、揺らいでいた。
”悲しい、寂しい”
気づいたら、彼らを飲み込んでいた。
それでも、悲しみは消えない。寂しさは無くならない。
”悲しい、寂しい”
そして、またさらに飲み込む。
そこに現れた侯爵。
”もっと飲み込めば、腹の中から暖かくなる。その悲しみも、寂しさも癒やされる”
そう囁いた。
すでに思考能力を失ったユニコーンは、ひたすら飲み込む。
その様子を見て喜ぶ侯爵達。
これが、あらまし。
光の中で、カリエンヌに亡くなった子供のユニコーンが近づいた。
”パパを助けて。パパは寂しいだけ。悲しいの。僕たちが居ないから。パパを助けて”
気づくと、彼女のつるぎはユニコーンの角と変わっていた。
”貴方を解放してあげる”
カリエンヌは角を光の中で突き立てた。
光の放射と共に、今までいたドラゴンの体内は苦しみながら消え、真っ白なユニコーンが現れた。
”姫様ありがとうございます。
やっとこれで自由になれる。
家族の元に行くことができます”
ユニコーンの額には、カリエンヌと同じ太陽の文様が現れた。
そしてその文様は、彼女の手の中に収まった。




