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月の夜に  作者: カノン
17/42

ガーデンパーティ(3)

 目が覚めると、それは牢獄のような場所だった。

 灰色の部屋。光も差さず、何も聞こえない。



 ”カリエンヌ様、こちらの匂いを”


 そう言って、侯爵の使いのものがやって来た。




 ”ここはどこ?なぜ私がこんな目に遭うの?”



 ”貴方は次の生贄。

 こちらで次回のガーデンパーティーまでお待ちください。”



 (生贄ですって?)


 ”どう言うことなの、生贄って。エラゴラはどこ?私を放して!”


 足に鎖がつけられて逃げられない。




 ”エラゴラは生贄となりました。

 紫の空気の向こうにいる怪物の生贄と。

 この国の住民も、私たちの心も、すべて餌食となりました。

 次は貴方の番です。”


 そう言って、揺らぎながら出て行った。




 生贄なんで冗談じゃない。ここで終わるわけには行かない。頭痛のような思い空気は残っているが、何とか逃げ出さなければ。


 考えても、良い案が浮かぶわけでもない。

 だがこの匂いは嫌だ。やる気が失せていく。



 何とか匂いを嗅がないようにしているが、窓もなく、どうしたら良いのか。





 その時、彼女の爪から花が咲き始めた。芳しい匂いを嗅ぐと元気が出る。


 ”カリエンヌ、カリエンヌ、貴方の元へ、カリエンヌ”


 小さな声で歌いながら、その花は、カリエンヌの人差し指に咲いていた。





 咲き終わると、次は、中指、薬指、と花を咲かせて、彼女を励ましてくれる。


 最後の花が咲き終わると、花が枯れ、鍵の形になった。

 そっと足かせの穴に入れてみたら、開くではないか!






 足かせを外し、隙を見て逃げる準備。


 あの使いが次に来たときは、隙を見て逃げるシュミレーションを何度もした。







 いつものように、扉が開くと使いの者がいた。


 カリエンヌは壁の横にへばり付いていて、扉が開いた途端に逃げ出した。


 風が重く、揺らぎにくいが、何とか逃げ出せた。


 隙を見て廊下を通り過ぎ、外の出たが!




 辺りは紫色の空気。

 先日のガーデンパーティーにいた者達がいる。

 目が虚。

 カリエンヌを見つけると、襲い掛かろうとしてくる。




 侯爵は、狐のような目を大きく見開き、

 ”さあ、獲物だよ。皆さん。誰がこの歌姫を貢ぎ物に差し出せるかな?”



 一斉に皆が、カリエンヌに襲いかかってくる。

 必死に逃げるが、風が重い。


 抵抗するが、風の方に吸い寄せれられて行く。


 歓喜の声がする。カリエンヌが吸い寄せられるのが面白いのだ。


 すごい吸引力で、紫色の空気の中、カリエンヌはずっと奥にある黒い穴に吸い込まれてしまった。





 

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