ガーデンパーティ(1)
数日後、侯爵の使いの者がカリエンヌのもとへやってきた。
”明日、侯爵家のガーデンパーティのご招待に参りました。是非ご参加を”
もちろん断るカリエンヌ、だが・・・
”いらっしゃっていただけないのなら、こちらの方を代わりにお連れいたします”
使いの者はエラゴラを紐に繋ぎ、ガラスの箱に閉じ込めている。
漂っていたエラゴラを、他の捕まえた妖精達を囮に捕まえたのだ。
”エラゴラ!
なんて事をするの!
放して、エラゴラが可哀想じゃない!”
”明日ガーデンパーティーでお返しいたします。お待ちしております。お迎えに参りますので”
冷たく無表情な使いは、エラゴラを連れたまま戻って行ってしまった。
なんと汚い手を使うのか。でもエラゴラを助けるには、行くしかない。
途方に暮れ、一睡もできないまま次の日が来た。
使いの者が来た。最初に会った時、侯爵と一緒に居た者だ。
”お迎えに参りました。こちらへ”
ぺったんこの馬車の上に乗ると、何となく馬車に乗っている感覚がする。不思議なもので、馬車に乗っているのだ。その感じはする。
一途すると、グレー色の城に到着した。
見事な城だが、不気味な雰囲気が漂っている。
揺らぐ城の門をくぐり、城内に案内された。
歴代の当主の肖像画が並んでいる。
城の中に有る装飾品は、実に見事なものだった。
声を出す壺からは、カリエンヌの美しさに対するコメント。
匂いを嗅ぐ花瓶は、カリエンヌの匂いをかんでいる。
動く剣は、足が生えていて、場内を歩き回っている。
”剣が歩くって、大丈夫なのかしら?”
長い廊下を通り、中庭にたどり着いた。
沢山の彫刻と、噴水の揺らぐ素敵な庭・・・
なのだろうが、何だか暗い。
お天気のせいもあるかもしれないが、澱んだ空気が漂っている。
公爵も招かれた客達も青い顔。
”ようこそカリエンヌ嬢。皆貴方のいらっしゃるのを楽しみにしていました。
ここにいるのは私の親戚や家族同然のもの達ばかり、どうぞ楽しんでください”
そう言って、数人の者を紹介しれくれるが、カリエンヌの目に留まったのは、噴水のすぐそばに不自然に置かれた箱。
豪華な布がかかっていて中は見えない。
”皆様、お好きな香りを楽しんでください”
確かに様々な香りがするのだが、何だか頭が痛くなるような、決して心地の良い香りではない。
エラゴラはどこに居るのか?
招待客の合間を揺らぎながら、エラゴラを探しているのだが、彼女の姿が見えない。
君悪く微笑む招待客の合間を揺らぎながら、エラゴラを必死に探す。
”さて皆様、本日はカリエンヌ嬢をお招きしております。
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、彼女の歌声は神の声の如く。
本日は、彼女の歌声を存分にお楽しみください”
カリエンヌの承諾もなく、勝手にカリエンヌが歌うことになっている。
エラゴラを見つけることができないのでは、言うままに従うしかない。
カリエンヌは歌い始めた。
美しく、しかし物悲しい声で、エラゴラを思いながら、キヌリアと空の国で起こったことを思い出しながら歌った。
聞いていたもの達は、感動し拍手を送るが、その薄笑う表情が、カリエンヌには気に入らない。




