1つ目の国、1つ目の経験(1)
カリエンヌが漂っていた時、眠っている彼女に聞こえてきた声。
無意識のうちに、彼女は声の主に導かれていた。
1つ目の試練 ・ 1つ目の世界
最初のお話
気づくと、カリエンヌは舞台の上で歌っていた。
どうやらオペラ歌手らしい。
皆が彼女に拍手喝采している。
パタパタパタ
不思議な拍手の音。
鳴り止まないパタパタパタパタ
カリエンヌも周りも皆薄っぺらい
まるで紙のよう。
ペラペラ
しかも皆何かない。
目が無いもの、口が無いもの、耳がないもの、手が無いもの
何かがない
妖精が飛んでいるが、妖精も薄い
ペラペラと空気の流れるまま、皆揺れている。
(ここは、もしかしてキヌリアが話してくれた国かしら?)
皆がゆらゆらしてる国
エバラリ
妖精と花の国
そこの住民は皆紙みたいに薄く、空気を漂って暮らしているけど、いつも幸せそうで、素敵な国だったと言っていたけど、
なんだか、話に聞いていたのとは違うような。
皆幸せそうにはあまり見えない・・・・
カリエンヌの歌声に、涙を流して拍手してくれているけれど・・・
控え室に、ゆらゆらしながら空気の流れで戻ったカリエンヌの元には、沢山のお花が届けられていた。
”お花が薄い・・・
でも嬉しいわ、いい香り”
すると、
”こんにちは”
声がする。
”こんにちは、可愛いお姫様。
私はエラゴラ。
花の妖精。”
薄ーい花束の中から、薄ーい妖精さんが現れた。
”貴方の歌、素敵だった。聞き惚れたわ。どうやったら、そんな美しい歌声が出るの?
私も前は歌えたの。これでも上手なのよ。
でも今は、歌えないの。”
(歌えない?)
カリエンヌがエラゴラに尋ねた。
”なぜ歌えないの?”
”歌が出てこないから”
そう言って、エラゴラは下を向いて悲しそうな顔をするので、それ以上聞けなくなってしまった。
”シーーーっ”
エラゴラは隠れてしまった。
楽屋の扉の隙間から、2枚(2人)の男性が入って来た。
トマヌ侯爵とその家来
”カリエンヌ嬢、貴方の歌声に聞き惚れておりました。
よかったら、我が邸宅で音楽会を行います。貴方もご参加していただけないでしょうか?
もちろん、謝礼はお支払いします。”
侯爵自らカリエンヌに話しかけてきた。由緒ある貴族なのだが、あまりカリエンヌは好きでない。
薄気味悪いあの口元と目つき。
悪い人ではないのだが、何か別の下心を感じるのだ。
”お誘いありがとうございます。
ありがたいのですが、私は舞台の上で、皆様に喜んでいた抱くために歌っています。
侯爵様の邸宅での音楽会など、私には未分不相応ですので、他の方をお誘いください。”
丁重にお断りした。
それでもしつこく誘ってきたが、今回はなんとか行かないことで落ち着いた。
侯爵が居なくなった後、
”あの人嫌い、なんだか嫌な空気が漂っているわ”
エラゴラがひょっこりペラペラの顔を出した。
同じ気持ちがする。カリエンヌもなんだか嫌な気分がしていた。




