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月の夜に  作者: カノン
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思わぬ事が始動し始める(2)

 ビーランに隠れていた姫は、空中に取り残されていた。

(なぜ兵がキヌアリを探しに来たの?私達がいなくなる計画を知っていたのかしら?誰にも言っていないのに。いつもなら、彼が数時間いなくともなんともないはず。どうして今日に限って?

 催眠玉を投げるなんて、何があったの?!)

途方に暮れるカリエンヌ。

 でも城には戻りたくない

 どうにかしてキヌリアを助けなければ。


 ビーランに彼の居る場所まで連れていってもらえるように頼むと、ビーランは体の一部の液体を連行されていくキヌリアに飛ばしたらしく、キヌリアの元へ一目散に進んでいく。


 彼は城の端ににある、鳥籠のような部屋に監禁されていた。羽根には施錠がされている。

 これでは彼は動けない。


 そこには、彼の父である王と、なぜか婚約者のパラリが居た。


 ”キヌリア様、あなたはどこにも行けませんよ。

 これで貴方は私のもの。

 この国も。

 貴方の父である王が我が一族、私との婚姻を望まれたのですから。

 これでこの国は安泰。何も心配は要りません。貴方は私の言う通りにしていれば良いのです。”



 国王の様子がおかしい。まるで魂のない人形のよう。虚で何も話さない。

 一方、婚約者であるパラリは嬉しそうに笑っているが、その表情はまるで悪魔のよう。


 ”貴方と結婚する気など全くありません。早くこの施錠を外してください。”


 王子がいくら言っても、2人には全く聞こえないかのよう。



 周りにいる護衛の兵士たちも表情がなく、何も話さない。

 皆が、操り人形にでもなってしまったかのような・・・



 ”ビーラン、あのカゴの部屋に入れない?彼の施錠をなんとか外してあげることはできないの?


 ビーランはあの部屋には、何か仕掛けがあり、中に入り込むことは出来ないと合図する。

 しかし王子に張り付いた1部で、連絡はできるはずだというのだ。




 王達が部屋を出ていったのを見計らって、姫は王子を呼んでみる。


 ”キヌリア、キヌリア”


 小さな音がする。

 カリエンヌの声が聞こえる。


 ”カリエンヌ、どこにいるの?姿を見せて”


 ”私は貴方の部屋の外よ、なんとか入り込みたいけれど、ここには何か仕掛けがあるみたい。ビーランでも入れないの。でもビーランは貴方に彼の体の1部を貼り付けたから、そこから、私の声を届けてくれているのよ。

 キヌリア、貴方を助けたい。

 どうしたら良いの?”


 ”愛しいカリエンヌ、僕は君とずっと一緒に居たい。君を抱きしめたい。

 だが、なんだか様子が変なんだ。父はまるで心を失った人形のよう。

 君に何かあってはいけない。城に戻るんだ。

 カリエンヌ、どんなに君を思っているか。

 でも君に何かあったら、僕は生きては居られない。

 だから、城に戻って。

 僕はなんとかここから逃げ出すから。

 愛しているよ。君だけを。

 忘れないで、僕のカリエンヌ”



 (目の前で愛しい人が施錠され、幽閉されているのに何も出来ないなんて!)



 ”キヌリア、私も貴方を愛しています。貴方だけを。

 貴方を失うことなどできません。

 なんとか、貴方を解放できるようにするから。待っていて!”



 そういって、ビーランに身を隠し、カリエンヌは王子のいる場所を後にした。


 ”ダメだ、カリエンヌ、危ない、城に戻るんだ!”


 王子の言葉など耳を貸さず、彼女はリーデル国の城に潜り込もうとしていた。




 なんとか、衛兵の目を潜り、ビーランが王子の部屋らしき場所まで連れていってくれた。

 その部屋は、豪華というより、シンプルで整理整頓されている。キヌリアの性格がなんとなく表現されたような部屋だった。



 壁には何の飾りもなく、正直寂しいような印象だったが、ビーランは部屋に入ると、あちこちに体の液体を飛ばし始めた。


 ”ダメよビーラン、イタズラしては!”



 その後、ビーランの各部にカリエンヌが映し出された。



 王子と出かけた時の顔、メッセージを送る顔、寝ている顔まで。


 またそれを愛おしく見つめる王子。




 王子は、ビーランを通してカリエンヌを映像に留め、こうやって部屋で1人見つめていたのだ。


 恥ずかしい気持ちと、嬉しさと愛しさと。


 カリエンヌも同じだった。


 ”ビーラン、彼の施錠を外す鍵はどこにあるか知っている?”


 ビーランは首を傾げたが、おそらく王の部屋にあるのでは?

 と王の部屋へ向かうことにした。


 









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