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太陽と星のバンデイラ  作者: さくらのはなびら
日が落ち星が隠れたとしても
83/122

『リアライズ』にて

「弧峰さん、どうですか?」


 就業時間後の『リアライズ』では、弧峰チームのメンバーが弧峰のデスクの周りに集まっていた。


 百合がポスターを広げて見せる。

 メイクでエキゾチックな顔立ちに見えるダンサーが大写しにされ、イベント情報がバランスよく記載されている。

 先日渡会がつくったドラフト版では当てで入っていたコピーは、百合が書いたキャッチコピーに置き換わっていた。大写しのダンサーの横で、そのキャッチコピーはフォントやカラーだけではなく、言葉の力でも目を引く仕上がりになっていた。


『サンバが照らす! 太陽と星の商店街‼︎』


「うわ、すごく良い!」慈杏はポスターをしげしげと眺め、感嘆の声を上げた。

 まだ色校の段階だが、既に荘厳さの中に勢いを感じさせる仕上がりとなっていた。


「コピーはいまいち意味わからないけどなんとも言えない迫力あるね!」


「ぷぷ、ランちゃんのコピー意味わからないって」


「ええねん! 意味のわからなさと勢いをフックにする、そういう種類のやつや!」


 軽口を叩き合いながらも、その口調や表情には、お互いのクリエイティブの出来に、その相乗効果による成果物の仕上がりに、満足感が滲んでいた。


「ほー、これが例の?」


「あ、社長! ちゃいますよ? 時間外に作業してますからね?」


 いつの間にか現れ、ポスターを覗き込んでいた新町に、百合は慌てて言い訳じみたことを言った。


「印刷も自宅で?」


「あ、いや、それは、あの、色確認の参考として印刷を、これ、サンプルでして」


 不敵に微笑んで返す新町としどろもどろになる百合。なぜか嬉しそうに笑いを堪えてる渡会。


「ふふ、冗談よ。慈杏には協力するって言ったし。印刷機くらいでガタガタ言わないわ」


「ありがとうございます!」


「さすが社長! もう呼んで良いですよね? おかあさん、と!」


「だめ」即答する新町。


「あの、社長。今日の夕方の打ち合わせなんですけど」


 探るようにしていた慈杏が新町に話しかけた。


「十六時に日本橋の案件でしょ?

良いよ、直帰して。練習でしょ? 渡会も一緒?」


「一心同体であります!」


「百合に負担かかりすぎないようにしなさいよ。百合、焼肉でも奢ってもらいな」


「既にケーキバイキング予約してもろてまして。

俺も弧峰さんの計画の仲間ですから、全然頼ってくれて良いですしね。むしろパフォーマンスの方は参加しないんで仕事のフォローと簡単なクリエイティブくらいは手伝わせてもろてます。

残業はしませんし週に少しだけ、時間外にPCやプリンター使わせてもらうかもしれませんが、それだけ見逃してください」


「もちろん、ガシガシ使って。

二ヶ月後くらいだっけ? 簡単なので良ければWeb広告わたしが作ろうか? 弧峰、ケーキ一名追加ね。いつ行くの? 予定調整しなきゃ」


 新町は慈杏の答えも聞かず、一方的に空き予定を慈杏に伝えていた。

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