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4話 初めて手を繋ぎました。


きっかけは大神さんのナンパでした。



大神さんと初めてナンパされた場所が集合場所となる大神さんとのデート。

ナンパされて、あれよといつの間にかデートになってるのは僕は今でも驚いてます。


「赤須クン! 待った?」

「いえ! 全然待ってないです!」


そんな会話をしてますが、これでも時間はまだ早い方だった。


「格好どうかな?」


そんな大神さんの私服は、白いワンピースという前見た私服とは正反対だったから予想に反して驚いてしまった。


「んふっ。惚れた?」

「い…いえ! 可愛いです!」


ただギャルという事もあってか、肩の露出だったり大きな胸は強調してたりと。


「じゃあ…錦クン行こう?」

「ヘっ!?」

「あたしの事は、初って呼ぶこと」

「で、でも大神さんとは…まだ」

「初」

「う…ぅぃさん」

「初」

「う…初さんで…ごめんなさい」

「あははっ! 錦クン可愛いねー」

「うぅぅぅ…」


僕は恥ずかしかった。顔が熱くなって赤くなってくるのがわかるぐらい。

これからどんどん恥ずかしい事になっていくんだろうか。


「じゃあ行こー!」

「は、はいぃぃ!?」


僕は変な声が出てしまった。

そんな僕に初さんが満遍の笑みで口角が上がっていた。


「デートと言えばこれっしょ。こうやって指を絡めたら恋人繋ぎなんだよ?」


僕の手は捕獲されていた。

初さんの細い指が僕の指と絡むように繋がれてしまっていた。


「今日はあたしがエスコートするけど、今度は錦クンがエスコートしてよね」

「…は、い。がんばり…ます」


初さんの笑顔は華のように開いていた。




「今日は映画館だけにしたから映画見よ?」


僕はちょっと安堵した。

初さんの事だから、時間いっぱい連れ去られ回されるだろうと予想していたからだ。


「だって、錦クン。途中で逃げ出しそうじゃん?」


初さんはわかっていた。僕にある意味前科がある事を。




僕と初さんはペアシートに座っていた。

初さんが「カップル割にしたらペアシートだったんだよね。やっちゃったなー」と、悪魔のような笑みを浮かべて言ってたけど絶対知っててやってますよね。


館内は真っ暗になり上映が始まった。


「初さん。これなんの映画です?」

「恋愛。ほら手だして」

「あ…はい」


僕と初さんは、もう何も躊躇いもなく恋人のように手を繋いでいた。


この恋愛映画のストーリーは、幼馴染の淡い恋物語を描くオーソドックスのタイプだった。


「ねぇねぇ。おいで」


クライマックス辺りだろうか。

初さんが小声で囁きながら、僕の腰に手を回して抱き寄せてきた。


「錦クン。こうやって強引に抱き寄せられると女の子は喜ぶんだよ。錦クンはどうする?」


僕にも同じ事をしてほしいのだろうか。

初さんを見ると期待のしたキラキラした瞳に、錦クンに拒否権はないよと言わんばかりの笑顔が見える。


だから僕は腰に手を回して初さんを抱き寄せた。


「錦クン。カッコいいよ」


そんな赤くなった顔をした初さんの言葉と同時に映画は終わっていた。

ラストシーンは全く覚えてなかった。




「さーて帰ろうー!」


初さんは解散の意を唱えて僕は解放された。


「楽しかった?」

「はい! 楽しかったです」

「あ、そうだ。最後に写真撮ろ? 初デート記念」


初さんは、にししっといたずらっぽく笑っていた。


「自撮り初めて?」

「は…はい」

「ほら、もっと寄らなきゃ撮れないよ」

「はい!」

「こういうのは、あたしの物だーとかで強引に抱き寄せるといいんだよ」

「…こうですか?」


こうして自撮りを終えた僕と初さんの初デートは終わった。


今日、デートをして手を繋いで抱き寄せたのだった。


その後、初さんから写真を送られてきて一言添えてあった。


『次は期待してるから』


僕の胸はドキドキが止まらない。

初さんの事は嫌いではないけど好きかどうかわからなかった。

けど、初さんから次もあるという事に僕はちょっと嬉しくなっていた。

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